【アニ漫研究部】「ドラフトキング」クロマツ氏「3年の夏が終わると美術部に入った」異色の元球児漫画家
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人気の漫画やアニメを掘り下げる「アニ漫研究部」。今回はプロ野球のスカウトマンを描く人気漫画「ドラフトキング」(集英社「グランドジャンプ」連載中)のクロマツテツロウ氏のインタビュー後編です。WOWOWでの実写ドラマ化も決定した注目作。実写映画化もされた「野球部に花束を」や「ベー革」なども手掛け、今最も注目される野球漫画家の“まんが道”を聞きました。
クロマツ氏は元高校球児。ただ、美術教師も放っておけない絵の才能がある球児だった。高校2年生の頃には美術部に勧誘された。
「先生に“キミは野球にどれくらい真剣なんだ”と聞かれました。もちろん“真剣にやっています”と答えました。芸術系の大学のことなど、いろいろ教えてもらいましたが、やっぱり僕は野球を選びました。すみません(笑い)」
子供の頃から絵を描くことは好きだった。
「小学生の頃は『キン肉マン』が好きで、キン消しを組み合わせて絵を描いていましたし、雨の日は漫画を描き、晴れの日はドッジボールをするという日々を過ごしていました。でも思春期になると絵を描くのがなんか恥ずかしく思うようになっていました。高校の芸術科目は美術を選択しましたが、美術部に入る気はなかったです。もちろん野球に打ち込んでいましたからね」
だが、3年生の夏に野球部を引退すると、再び勧誘を受けることになる。
「美術部に入れば、画材も無料で使えるし家にも迷惑が掛からないとのことで、入部を決めました。だから僕の“最終部歴”は美術部です。そこで大きな賞に向けて絵を描き入賞。推薦をもらうことができて大学に進学しました。熱心に誘ってくれた、その先生がいなかったら僕は漫画家になっていない」
大学で油絵を描いていると、子供の頃になりたかった漫画家への夢が再燃した。
「美大では、教授の方々が集まって学生の作品を批評する場があります。そこで僕の絵を見て“君は社会にめちゃくちゃ怒りを持っている。反骨精神がある”と言われました。でも自分は当時楽しかったし、社会に対して怒りや不満なんて一切ありませんでした。そんな感じで、絵に人生を懸けるのは危険だなと思いました。もっと分かりやすく共感がほしいと思った。自分が“こう思う”というものに“そうだよね”と反応があってお金になるもの…考えついたのが漫画でした」
メッセージを物語で伝える創作として、映画も考えたが「打率」が気になった。
「お金を必死で貯め、苦労してやっと映画を1本撮って、それが認められるとなるには、ランディ・バース以上の“打率”が必要だと思った。自分でストーリーを考えられて、自分で絵を描いて表現する。一番お金が掛からないのは漫画かと。結果そうでした。むちゃくちゃイバラの道でしたが、読みは正しかった(笑い)」
漫画家になる道筋は描けていなかったが、他の道は考えなかった。
「なぜか根拠なき自信から“イケる”と思いました。しかし、どうやれば漫画家になれるかというのは分からなかった。行ってみなくちゃ分からないと思った。インターネットはあったけど、今ほど情報があふれていない時代。僕らは就職氷河期のど真ん中。就職活動しても、やりたい仕事はできないのが当たり前みたいな感じだった。それなら、やりたい事をやって生きていきたいと思った。実は漫画を描いたこともなかったんですけどね(笑い)。調べたら、大きな出版社は、ほとんどが東京にある。それで上京しようと思いました」
だが、そんな根拠のない自信と行動力が道を開くのかもしれない。
「上京を考えたのと同じ頃、大学時代にバイトしていたオムライス店が東京に店舗を出すという偶然もありました。さらに、そこでバイト仲間がバイト情報誌を手に“『カイジ』の福本伸行先生がアシスタント探してるよ”って教えてくれました。それで福本先生のところを訪ね、お世話になることになりました。その子がバイト誌を持ってきてなかったら、今の僕がいる未来はなかったかもしれないですね」
「泥水を飲んでいるようだった」という20代。上京5年目の2006年に「近代麻雀」で「マイケル・ヒロタ」が掲載され、漫画家デビューを飾る。
「近代麻雀でデビューというのはレアな経歴かもしれません。もともと麻雀好きで、編集部に持ち込んだと記憶しています。アングラな人種なんでしょうかね、僕は(笑い)。自分では“どメジャー”を描いているつもりですが」
「マイケル・ヒロタ」は、麻雀描写が控えめの作品。麻雀をする人たちの生態が描かれる。2013年から月刊少年チャンピオン(秋田書店)で描かれ、実写映画化もされたヒット作「野球部に花束を」など、後のクロマツ漫画に通じるものもある。
「群像劇とかヒューマン系の話が好きなんです。それを重点的に描くと、ページ数が足りなくなって、結局麻雀をしなかった。完全に実力不足です(笑い)」
「近代麻雀」だけでなく、マニアックな技術論や分析、インタビューなどの特集で根強いファンを持つ野球専門誌「野球小僧」の編集部にも“飛び込み営業”を掛けた。中学生向けの「中学野球小僧」で描いた「デンキマンの野球部バイブル」は、野球好きの間で話題となった。
「中学生向けの『中学野球小僧』という雑誌があったので“中学生なら漫画があった方が良いんじゃないですか?”とお話ししたら、編集部サイドも同じことを考えていたようです」
同作は、技術論や練習法のハウツー漫画。主人公で高齢の熱血監督が力説する根性論や昔ながらの指導が「あんた間違ってる」と否定されるパターンで、野球部の空気もコミカルに描かれた。
野球専門誌の仕事で得た知識や人脈は「ドラフトキング」にも生きている。
「野球小僧では、たくさんのライターさんや多方面の専門家の方々と知り合えました。今もご活躍の方が多くて“これからスカウトさんを取材しますが、来ますか”などと声を掛けていただき、勉強させてもらえることは大きい」
今も野球が大好きで、野球への関心が薄れることはない。
「野球専門誌で描きたかったのは“最新の野球”に興味があったから。野球って意外と進化やサイクルのようなものがある。球数問題がクローズアップされたり、描きたいものがどんどん出てくる。例えば今“フライボール革命”が流行りですよね。僕らの時代は“フライを打つな”と教えられたのに、今は“フライを打つ方がホームランになる確率が高くなる”と推奨されることもある。それが日本人に合うのかなど、深く掘り下げて描きたいことはどんどん出てくるのかもしれません」
「野球部に花束を」から「ヤキュガミ」「ベー革」など野球がテーマの漫画が続くクロマツ氏だが“野球漫画家”のつもりはない。「ドラフトキング」も野球漫画と意識せず描いている。
「野球が題材となるオファーが続いていますが、僕自身は何でも描くつもりです。野球漫画という縛りはあっても、意外といろんなテーマが描けると思っている」
今最も勢いある“野球漫画家”の一人だが、野球以外の作品も読んでみたい漫画家だ。
◆クロマツテツロウ 11月17日生まれ、奈良県出身。県立西の京高卒業後、宝塚造形美術大学(現宝塚大)絵画学科に進学し、油絵を専攻。2005年、「とんずらmy way」が、ちばてつや賞(ヤング部門)で準優秀新人賞を受賞。11年「バーコードロボ」が小学館新人コミック大賞入選。13年から月刊少年チャンピオン(秋田書店)で連載の「野球部に花束を~Knock’in On YAKYUBUS’s Door~」が今夏映画化。18年からグランドジャンプ(集英社)で連載中の「ドラフトキング」が来春にはWOWOWにて実写ドラマ化予定。また「ゲッサン!」(小学館)にて「ベー革」を連載中。「ヤキュガミ」など野球漫画多数。
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