辛坊治郎氏 知床観光船事故に怒り「救命いかださえ積んでいれば…その一点に尽きる」

[ 2022年6月13日 18:21 ]

辛坊治郎氏
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 キャスターの辛坊治郎氏(66)が12日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」(後1・30)にVTR出演。4月23日、北海道・知床半島沖で観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没し、乗客14人が死亡、乗員乗客12人が行方不明となった事故について語った。

 辛坊氏は大きく分けて、重要なポイントは2つあると指摘。「何で事故が起きてしまったのか、防ぐ方法はなかったのか、というのが1つの大きな論点。もう1つの本質は何で26人を救えなかったのという、本当はこっちの話が大切なんだけど、こっちが完全に議論から抜け落ちてる」と述べる。その上で「当時の報道を精査すると、2時ぐらいまでは船が浮かんでいた可能性があるんですよ。2時半までにたどり着かないとまず助けようがないんだけど、最初のヘリが行ったのが4時半じゃ話にならないですよ」と厳しい口調で語った。

 また、当時の救助状況について、「あの日の午後、悪天候になって波の高さが最大3メートルになりましたから船が出せなかったんです。“そりゃしょうがないよね”ってなるじゃないですか。でも、私の感覚で言うと、3メートルっていうのはプレジャーボートが走行してはいけない波の高さです。同時に助けに行かなきゃ目の前で人が死ぬという状況で船を出せない波の高さではないんです」と持論を述べて、疑問を呈した。

 さらに、「すぐに救助に行けないような状況で、水温が1桁みたいなところは、船が沈んだら救命いかだがないとまず助からないです。基本、船は沈むと思って対策しておかないといけない。観光船には救命ボートや救命いかだは絶対いるでしょ。義務づけもなかったし、搭載もしてなかったというのが最大の落ち度ですよね」と断言。「あれだけ冷たい海だったら、船が沈んだら30分保たないんですよ。低体温症への理解が、もしかすると第一報を受けた海上保安庁の職員も認識していなかったんじゃないの、というのが私の感覚です」と険しい表情で語った。

 辛坊氏は13年6月、全盲のセーラー・岩本光弘氏とともにヨットでの太平洋横断に挑戦したものの、遭難事故に遭い、自衛隊に救出された経験がある。それもあってか、「私があの観光船に乗っていたら…と考えるんですよ」と口に。「海面で冷たい海に浸かりながら、助けてもらえると信じていた26人の気持ちが痛いほど分かるんですよ。全員は無理だったかもしれないけど、全員が死ななくて済む方法はあったはず。救命いかださえ積んでいれば、誰も死んでいないんですよ。その一点に尽きますね。26人は、私は助けられたと信じています」と悔しそうに語った。

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2022年6月13日のニュース