星屑スキャット 3人の美しいハーモニーは「4人目の声」

[ 2022年5月9日 08:20 ]

ミッツ・マングローブ、ギャランティーク和恵、メイリー・ムーの「星屑スキャット」
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 【牧 元一の孤人焦点】音楽ユニット「星屑スキャット」が8日、東京・大手町三井ホールで、東名阪ツアーの初日を迎えた。

 ミッツ・マングローブ、ギャランティーク和恵、メイリー・ムーの3人組。2012年にシングル「マグネット・ジョーに気をつけろ」でメジャーデビューしてから10周年となる。

 ミッツは最初のMCで「実はデビューしてから10年。知ってた?」と観客に質問。盛大な拍手を浴びると「本当かよ。こんなに拍手があるんだったら、もう少しオリコン(売れ行き)とか…」とジョーク。3人ともメジャーデビューシングルの発売記念日を覚えていないことを明かしつつ、「こんな薄情な3人でよくやって来られた」と笑った。

 ステージにファッションショーのようなランウエーを設置し、曲の途中でモデルウオークも披露。ミッツは「念願がかなった。ドラァグクイーン(女装した男性)はみんなスーパーモデルにあこがれている。今回はスタジオの廊下でランウエーの練習をしてきた。今までのツアー以上に自己満足で終わるかも」と話した。

 2時間以上にわたるステージで、20曲以上を披露。今月4日に発売したニューシングル「BAD PARADISE」(作詞作曲・西寺郷太)は、1990年代初頭のUK風の楽曲で、60年代から80年代までの音楽の世界を表現してきたユニットとして斬新さを感じさせた。

 「マグネット・ジョーに気をつけろ」などのオリジナル曲もさることながら、カバー曲もこのユニットの魅力の一つ。中森明菜や少年隊の楽曲にアレンジを施して独自のハーモニーをつけ、聞く人の心を揺さぶった。

 いかに3人の美しいハーモニーが生まれたのか?終演後の控室で話を聞いた。

 ミッツは「最初はハモるつもりはなかったけれど、なんか、『ハモってみようか!?』と言い出したら、どんどん複雑になっていった。ただ三人三様で違う音を出してもしょうがないので、『4人目の声』になるように意識していて、レコーディングの時も『4人目の声』が聞こえた瞬間、OKとなる」と説明した。

 和恵は「昔からハモるのが得意で、よく『ごっこ』でハモっていた。みんな個性が強いから、最初のうちはとっちらかっていたけれど、結構長いこと、声の出し方などを訓練して慣れてきた」と話した。

 メイリーは「自分の声を殺すと、他の3人の声が聞こえてくる。今は、レコーディングをしていても、誰がどのパートを歌っているのか分からなくなる」と語った。

 個性豊かな3人が寄り添うことで築いたハーモニー。その美しさが、この10年の集大成であることを強く感じた。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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