渡辺名人「充分戦えるメンバー」2021年度連勝賞の渡辺五段を指名 ABEMAトーナメントドラフト会議

[ 2022年4月2日 21:14 ]

第5回ABEMAトーナメントでリーダーを務める(左から)三浦九段、斎藤八段、渡辺名人、羽生九段、佐藤康九段
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 インターネットテレビ局「ABEMA」は2日、将棋の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」のチーム編成を決めるドラフト会議の模様を放送した。会議収録後にはチームリーダーを務めるトップ棋士14人が取材に応じ、チーム構想のウラ話を語った。(その2)

 ◆「充分戦えるメンバー」渡辺明名人チーム(近藤誠也七段・渡辺和史五段)

 渡辺名人=棋王との2冠=は3年連続で近藤七段を1位指名した。「(勝ちを)計算できる人がいるとすごく楽」と同門の弟弟子に絶大なる信頼を寄せる。2巡目では佐々木勇気七段獲りを逃すも、2021年度公式戦20連勝で連勝賞に輝いた渡辺五段を選出。「今期は勝率が良いし、練習将棋を指した時のデキが良かったから(笑い)」と明快な理由を示し「充分戦えるメンバーになった」と自信をのぞかせていた。

 ◆「理想のチーム」斎藤慎太郎八段チーム(木村一基九段・佐々木勇気七段)

 斎藤八段は昨年の準優勝経験者2人を自軍に迎えた。クジ引きをいとわない強気な指名。「お二人とも重複を覚悟していたんですけど、木村先生を一本釣りという展開になったので正直喜んでいました。佐々木さんは昨年も1巡目で指名して敗れたので、今回は獲得できて良いことづくしだなぁと思いました」。リーダー陣がこぞって挙げた優勝筆頭格。「理想のチームになった」と満足気な様子だった。

 ◆「うちのチームに寝返ってもらって…」佐藤康光九段チーム(郷田真隆九段・先崎学九段)

 新生・レジェンドチームが完成した。佐藤九段はハズレ1位で、前年大会ベスト4を経験した郷田九段を指名。「昨年、予選の最後にとどめを刺されたのが(チーム菅井所属の)郷田さんだったので、今年はうちのチームに寝返ってもらって…」とニヤリ。2巡目には「奨励会時代から修行を一緒にしてきた仲」という先崎九段を選んだ。「彼は早指しの実績もあるので期待しています。あと、私のことをよくコラムで書いているので、たまには私のために力になってほしいなと思っています(笑い)。2人とも何も連絡してないのでどういう反応が返ってくるか心配ですけど、ハハハ!」と笑った。

 ◆「新たなバージョン」羽生善治九段チーム(中村太地七段・佐藤紳哉七段)

 羽生九段は前年と同じメンバー構成でリベンジを誓った。「1年目よりも2年目の方がチームとしても結束して良い形になるんじゃないかなと思って、新たなバージョンというところで指名しました」。昨年は本戦1回戦で敗退。「もうひとつ先に進めるように」と着実に前進を目指す。ちなみに自身の注目は藤井聡太王将チーム(森内九段・藤井猛九段)だという。「藤井(聡太)さんが藤井(猛)さんを指名したというのが(笑い)。意表を突かれました」とファン目線でもドラフト会議を満喫した様子だった。

 ◆「ふがいないリーダーを救ってくれそう」三浦弘行九段チーム(伊藤匠五段・池永天志五段)

 三浦九段は昨年優勝&準優勝経験者を指名した。「練習対局を付き合ってもらって私が1回も勝てなかった伊藤さん、勝率の高い池永さん。ふがいないリーダーを救ってくれそうです(笑い)」と自虐的にチームメンバーを紹介した。三浦九段の注目チームも羽生九段と同じく藤井王将チームだと言う。「藤井竜王さすがだなと思いました。去年は完全に優勝しか狙っていないメンバーだったと思うんですけど、今回はエンターテイメントがわかってきたのかなと成長を感じました(笑い)」。ドラフトのだいご味でもある“重複”と、ファン垂涎の“W藤井共演”を実現させた19歳リーダーに感服しきりの様子だった。


 <第5回ABEMAトーナメント>3人1組の団体戦。リーダー棋士が自軍メンバー2人を指名した14チームと、エントリートーナメントを勝ち上がった棋士3名で結成された1チームの合計15チームが優勝を目指して戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。予選、本戦ともに5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。各リーグ上位2チームの計10チームが本戦に進出する。優勝賞金1000万円。

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2022年4月2日のニュース