永瀬王座「レーティング100点上げて」鬼指令で頂点目指す ABEMAトーナメントドラフト会議

[ 2022年4月2日 21:15 ]

第5回ABEMAトーナメントでリーダーを務める(左から)広瀬八段、佐藤天九段、永瀬王座、稲葉八段、菅井八段
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 インターネットテレビ局「ABEMA」は2日、将棋の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」のチーム編成を決めるドラフト会議の模様を放送した。会議収録後にはチームリーダーを務めるトップ棋士14人が取材に応じ、チーム構想のウラ話を語った。(その3=おわり=)

 ◆「遊びは禁止で!」永瀬拓矢王座チーム(増田康宏六段・斎藤明日斗五段)

 棋界屈指のストイックな研究姿勢から「軍曹」の異名を持つ永瀬王座が“鬼指令”を下した。1巡目には絶対的な信頼を寄せる増田六段を3年連続で指名。ハズレ2位で「元気な23歳という印象」という斎藤五段を獲得した。「うちのチームに入ってもらう以上は遊びは禁止で!あとレーティングも100点上げてもらえるように!後輩なので厳しく言わないといけないなと思っています」とニッコリ。ドフラフト会議には各棋士の対局結果などパフォーマンスを数値化したレーティング順位を頭にインプットして臨んだと話し、「レーティングを計算したら斎藤(慎太郎八段)チームが最強かなと思ったんですけど、うちのチームと70点しか変わらなかったんです。明日斗くんが100点上げれば逆転するんです、計算上。ハハハハ!」と弾ける笑顔で地獄の鬼特訓を示唆した。

 ◆「攻めの姿勢で積極的に」佐藤天彦九段チーム(梶浦宏孝七段・佐々木大地六段)
 
 佐藤天九段は1巡目で永瀬王座チームの不動のエース・増田六段を指名。「私のチームは過去2回とも永瀬チームに引導を渡されているので、主力メンバー剥がしに行ったら面白いかなと(笑い)」。結果的に獲得には至らなかったが、永瀬王座に冷や汗をかかせた。佐藤天九段の今年の構想テーマは積極性。「被るかなと思っていたんですけど攻めの姿勢で積極的に指名しに行きました」と公式戦での着実に実績が光る後輩2人を自軍に据えた。「まずは予選突破。予選を抜けられれば勢いがついていると思うので、さらに上を目指したいという展望です」と柔らかな笑みとは裏腹に、闘志をみなぎらせていた。

 ◆「麻雀好きチーム再び?」広瀬章人八段チーム(青嶋未来六段・三枚堂達也七段)

 前々回大会同様1巡目に青嶋六段を指名し、再び“麻雀好きチーム”の結成を目指していたという広瀬八段。2巡目には重複の結果、「才気あふれる、ひらめきタイプ」という三枚堂七段を選んだ。3年連続でドラフト会議を経験した広瀬八段は、リーダーたちの変化を指摘。「皆さん、視聴者側は抽選があった方が面白いという気持ちが大前提にあったと思うんですよね。一番驚いたのは藤井(聡太)さんが藤井(猛)さんを選んだことですけど(笑い)。人間味というか、それぞれチームのコンセプトのようなものを感じましたね」と会場の雰囲気を報告した。
  
 ◆「振り飛車で勝つ姿を」菅井竜也八段チーム(久保利明九段・佐藤和俊七段)

 前年、個人成績10勝3敗(プレーオフ含む)と圧倒的な勝数で自軍をベスト4に導いた菅井八段は、同じ振り飛車党の先輩棋士2人を指名した。1巡目には久保九段。「去年は指名順をいろいろ考えていたら稲葉(陽)さんに(意中の久保九段を)指名されちゃったので、今回はそれを参考にして1巡目にさせてもらいました」と2年越しの想いを叶えた。2巡目には初出場の佐藤七段を選択。「昔から強い棋士で勝敗問わず内容がすごく良い。それは総合力が高いということ」と信頼を寄せているという。14チームで唯一の生粋の振り飛車チーム。「将棋ファンの方は振り飛車が好きな方が多いんですよね。振り飛車で勝つ姿を一人でも多くのファンに見てもらい」と熱い思いを語った。

 ◆「最初から飛ばしていくようなチームに」稲葉陽八段チーム(服部慎一郎四段、出口若武五段)

 稲葉八段が指名したのは、奇しくも今期叡王戦挑戦者決定戦を争った新進気鋭の両名。「この2人で行ければいいな、というイメージ通りになった」と満足気だった。服部四段は「高勝率。面白い発想で反射神経が優れている」、弟弟子の出口五段には「早見え早指し。ここ1、2年で安定感が出てきて“指名されるべき棋士”になってきたと思う」と太鼓判を押す。「2人とも力があるので、リーダー自身が戦いやすいチーム作りを出来れば力を発揮してくれると思います。最初から飛ばしていくようなチームにしたいですね」と意欲的だった。

 
 <第5回ABEMAトーナメント>3人1組の団体戦。リーダー棋士が自軍メンバー2人を指名した14チームと、エントリートーナメントを勝ち上がった棋士3名で結成された1チームの合計15チームが優勝を目指して戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。予選、本戦ともに5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。各リーグ上位2チームの計10チームが本戦に進出する。優勝賞金1000万円。

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2022年4月2日のニュース