醸造家・須合美智子さん 東京御徒町でワイナリー立ち上げから6年 理想追い求めた新作ワイン完成に密着

[ 2022年3月26日 10:00 ]

26日に放送されるTBS「バース・デイ」は醸造家・須合美智子さんの新作ワイン完成までに密着した(C)TBS
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 26日に放送されるTBS「バース・デイ」(土曜後5・00)は、東京都御徒町のワイナリー「ブックロード」の醸造家・須合美智子さん(51)の新作ワイン完成までに密着した。

 醸造家として雑誌で多くの特集が組まれるなど高い評価を得てきた須合さんだが、醸造家になったのはわずか6年前。飲食店のパートを20年続け、2人の子育てが終わりを迎える頃だった。母体となる会社がワイナリーを立ち上げると聞き、知識と経験はゼロだったが手を挙げて山梨のワイナリーで1年修行を重ねた。

 2017年に東京都の御徒町でワイナリー「ブックロード」を立ち上げた。創業当初は「まずいって言われたこともいっぱいある」と苦い経験も味わったが、今では全国100以上の店舗で取り扱われている。

 須合さんが手掛けるワインの味はもちろん、自ら考案した食材や料理が描かれた特徴的なラベルも人気。さらにワインを身近に感じてもらうためイベントに積極的に出店し、ワイナリーの3階で定期的に試飲会を開くなど人気を集める。須合さんはワイン造りだけでなく、ブドウ畑の開拓にも取り組む。八王子で真の東京産ワインを造るため土地の整備にも取り掛かるなど挑戦を続けている。

 番組がワイン造りに同行した昨年9月。須合さんは、自ら2トントラックを運転し、山梨のブドウ栽培家を訪れた。1日をかけて1トンにも及ぶ収穫を行い、その際にはワインに適さないブドウの粒を切り落とし、赤ワインは種や皮から渋みと色を抽出する工程があるため、種ごと味見するこだわりも見せた。

 醸造では須合さんが造るワインの最大の特徴がある。味と香りを変化させるための熟成の際に、多くのワイナリーが木樽を使用する。だが、須合さんが使用するのはステンレスタンク。その理由は木樽特有の匂いや味の変化を避け、ブドウ本来の味にこだわるためだった。

 ここから2カ月の熟成期間を経た赤ワインは「フレッシュ感はたっぷり」と理想の味へと変化を遂げていた。続いて、濁ったワインをキレイにろ過する工程へ。1度目のろ過が終了すると、ワインは透明感あるクリアな色に。味も「おいしい」と納得できる出来だった。

 ろ過の回数は醸造家が理想とするワインによって異なる。「今の時点でおいしい。このままがいいんじゃないか」と2度目のろ過を行うべきか悩んだ。ピノ・ノワールは「黒葡萄の女王」と言われ、大きな特徴は香りの豊かさ。「もうちょっと(ろ過を)やったらキレイになる、香りが増してきたりする、いいところもあると思うけど、自分がやりたい、こういう風のを造りたいっていうのはやっぱり持ってやっている」と、ワイン好きに寄せるか、ブドウの味を残して飲みやすさを出すか悩んだ。

 悩んだ末に出した結論は「ブドウの味をいっぱい感じて欲しい。これがブックロードのピノ・ノワールですっていう感じにするのがいいんじゃないか」と、ろ過は1度だけにした。収穫から3カ月、赤ワインは瓶詰めされ、最後の工程に進む。ブックロードの魅力である、ラベルデザイン。今回描いたのはフランスパンの「サンドイッチ」で「食べ応え、噛み応えのあるのと一緒に飲みたいね」と思いを込めた。

 そして、須合さんがライフワークとしている試飲会を開き、完成した赤ワインとサンドイッチが用意された。果たして新作ワインの味、サンドイッチの相性はいかに。

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