「鎌倉殿の13人」義円・成河 ブラック義経・菅田将暉に感謝「自然なボール」最期は水中「行く先を暗示」
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俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は20日、第11回が放送され、源頼朝(大泉洋)の元に駆けつけたばかりの異母弟・義円(ぎえん)が「墨俣川(すのまたがわ)の戦い」(1181年、治承5年)で討ち死にした。舞台を中心に活躍し、大河初出演となった成河(そんは、40)が好演。実質1話のみの登場ながら強烈なインパクトを残した成河に撮影の舞台裏を聞いた。
<※以下、ネタバレ有>
ヒットメーカーの三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。
成河は大学時代に演劇を始め、北区つかこうへい劇団10期生。11年には第18回(10年度)読売演劇大賞・優秀男優賞(「BLUE/ORANGE」および「春琴」の演技により)を受賞。昨年21年も「イリュージョニスト」「子午線の祀り」「スリル・ミー」「森 フォレ」「検察側の証人」「ローマ帝国の三島由紀夫(リーディング公演)」と舞台に立ち続けた。
今回演じる義円は、頼朝の異母弟にして義経(菅田将暉)の同母兄。父・義朝が敗れた「平治の乱」(1160年)後に近江・園城寺へ入るが、兄の挙兵を聞き、京から駆けつけた。弓矢の名手にして、和歌にも通じる。前回第10回(3月13日)のラスト、頼朝と北条義時(小栗)の前に突如姿を現し、初登場を果たした。
そして第11回は「許されざる嘘」。頼朝の新たな御所が鎌倉に完成。坂東武者に平家の旧領を恩賞として与えるなど着々と体制が整えられ、義時も慌ただしい日々を送っていた。そんな中、平家討伐を焦る義経は集った兄たちの前で…という展開。
年が明け、1181年(治承5年)2月。平清盛(松平健)は「頼朝を殺せ」と言い残し、64年の生涯を閉じた。世が動くと、頼朝の叔父・源行家(杉本哲太)が現れ、頼朝の弟たちを懐柔して平家討伐を画策。誰も誘いに応じない中、義円だけは京で行家の世話になった恩義があり「申し訳ないことをしてしまった」と心苦しい。
義経は頼朝や北条政子(小池栄子)、御家人からも評判のいい義円が目障りだった。
義経「行けばいいじゃないですか」
義円「しかし私は兄上の元で…」
義経「ここにいるよりはいいと思いますよ。勘違いしてるかもしれないけど、鎌倉殿はあなたのことを、それほど買ってないから。うん、やっぱり遅れてきたのがよくなかった。平泉にいた私よりも遅いんだから。たちが悪い。それに、御台所の前で和歌を詠んだでしょ」
義円「いけなかったか」
義経「ひけらかすのって、鎌倉殿は一番お嫌いだから。能ある鷹は何とやら」
義円「どうすれば」
義経「鎌倉殿に認めてほしいんだったら、十郎叔父に従って西へ行き、手柄を立てる。それしか、ない。朝一番で叔父上と出立しなさいよ。みんなには私の方から、うまく話しておくから」
義円「その前に一度お会いしたい」
義経「鎌倉殿と?どうしてそういう考えになるかなぁ?言い訳とか、本当、あの方はお嫌いなのに」
義円「では、文を書く」
義経「それはいいと思います。私が渡して差し上げますよ」
義円「話を聞いてくれて、助かった」
義経「兄弟なんだから当たり前。助け合っていきましょう」
言葉巧みに義円を焚きつけた。翌早朝、義円は行家と出発。見送った義経は、義円から預かった頼朝宛の文を破り捨てた。
尾張・美濃国境付近の墨俣川。行家軍は平家軍に大敗。義円も討ち取られた。
成河は昨年2~3月、4年ぶりの再演となった舞台「子午線の祀り」(作・木下順二、演出・野村萬斎)に出演。「平家物語」を題材にした不朽の名作で、引き続き源義経役を任された。「この作品は滅ぼされた平家の視点から描かれているので、義経の立ち位置は敵役なんです。平家にとっては“ヤバい奴”。僕もいわゆる悲劇のヒーローというより、戦の掟を破っても勝ちを取っていった暴走ぶりを全面に押し出して演じました。それが、その後の源氏の衰退を予感させられればいいな、と」。今回、三谷氏が描く義経も「小狡いけど、憎めない。でも、ずっと破滅の色を身にまとっている。一般的な英雄イメージを覆していく、人間くさい人物として造形されていたので『この義経、凄く分かる』と思っていました」と今作の義経像に共感。
「一見、義円は間抜けにハメられてしまったと映るかもしれません。でも、それだけなんだろうか。これは僕の妄想なんですが、義円は兄弟と会えて、本当にうれしかったんじゃないか。その部分をとにかく大事に、一番根っこに持って演じようと心掛けました。単に、普段から抜けた人がハメられても、面白くないですよね。本来は観察力があるはずの義円が、心待ちにしていた兄弟との対面が叶って少しでも役に立ちたい、鎌倉に駆けつけたのが遅れたので一刻も早く兄弟に近づきたいと足掻(あが)いているうちに、こんがらがった糸の中で自分が何を選択すべきか少し冷静さを欠いてしまったんだと思います。共演の皆さんに比べると僕は映像に不慣れなので、あれこれ考えて持ち込むより裸一貫で現場に入ったような感じでしたが、菅田くんが自然にボールを投げてくれたので、僕も瞬発的に義円をつくっていけました。楽しくて仕方がなかったです。菅田くんともっともっと長く台詞を交わしていたいと思いましたね。年齢は僕が上ですが、胸を借りました」。初共演の菅田に感謝した。
ピンポイントの出番となった義円だが、物語が中盤へ向かう中、重要な役割を担った。
「義円の死が引き金を引いて、最終的には義経の悲劇にまでつながっていく。義円がこの物語に何を残すことができるか。それが一番重要だと考えていましたが、菅田くんの義経なら、否が応でも義円が残すものが浮き彫りになる。菅田くんの佇まいを見て、そう確信して安心しました。あの義経に唆(そそのか)されたら…。視聴者の皆さんも納得なんじゃないでしょうか」
台本上、義円の最期は“ナレ死”の可能性もあったが、川に沈められる描写となった。
「川のロケの時、寒くて大変でしたが、剃髪の特殊メークも『何分なら持ちます』と着け方を工夫してくださって、外れることなくNGもなし。インパクトのあるシーンになったと思います。最期が水の中というもの、源平の行く先を暗示していますよね」
昨年3月、節目の40歳を迎えた。「俳優としてセカンドステージに入る」と自らも見据えていたところ、今回の大河デビューが舞い込んだ。「菅田くんとガッツリお芝居できたことが、ずっと心に残っています。今回あらためて実感したのは、まだ出会っていない人や感性が、たくさんあるということです。決して目や耳を閉じることなく、もっと色々な人に出会って、ビックリさせられたいと思いました。ビックリさせる側じゃなく、僕自身がもっとビックリしたい。映像の作品も、やればやるほど面白いと再認識したので、ご縁を大切に、またチャンスを頂けた時は全力で取り組みたいと思っています」。主戦場の舞台はもちろん、ドラマや映画でも一層の活躍が期待される。
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