「鎌倉殿の13人」江間次郎役反響の芹澤興人「逃げるように」役者の道へ 今後「抗っていきたい」ことは?
「鎌倉殿の13人」江間次郎役・芹澤興人インタビュー(下)
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俳優の芹澤興人(たてと、41)がNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)で八重(新垣結衣)の夫・江間次郎役を好演。出番こそ多くはないものの、視聴者の心を揺さぶるインパクトを残している。さらに活躍の場を広げそうな芹澤に、デビューの経緯や今後の目標を聞いた。
<※以下、ネタバレ有>
ヒットメーカーの三谷幸喜氏が脚本を手掛け、俳優の小栗旬が主演を務める大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。
芹澤は09年、主演映画「最低」(監督今泉力哉)で「第10回TAMA NEW WAVEコンペティション」ベスト男優賞を受賞。バイプレーヤーとして、数々の映画やドラマで活躍。大河ドラマ出演は17年「おんな城主 直虎」、19年「いだてん~東京オリムピック噺~」に続き、3年ぶり3作目となった。
今回演じる江間次郎は、流罪人・源頼朝(大泉洋)の監視役だった伊豆の実力者・伊東祐親(浅野和之)の家人。狩野川を挟んだ北条家の対岸、江間を本拠とする。祐親の娘・八重(新垣)は頼朝の最初の妻だったが、父に2人の間を引き裂かれ、粗末な館に住む次郎のところに嫁いだ。
第3回(1月23日)、次郎との身分の差もあり、八重は「夫と思ったことはございません」と父に告白。さらに第4回(1月30日)、次郎から三島明神の祭りに誘われると「あなたと?」と冷ややかだった
しかし八重は次郎との会話の中から、伊豆国の目代・山木兼隆(木原勝利)が館にいるかどうか、愛する頼朝の挙兵の最重要情報を手に入れる。次郎によると、山木は前日に落馬し、足を痛めたため館にいるという。八重は頼朝との逢引の合図だった白い布をくくり付けた矢を対岸の北条館へ放ち、察知した頼朝と北条義時(小栗)はこの夜の出陣を決め、初戦に勝利した。
第5回(2月6日)、戦が始まり、八重は江間館から伊東館に移るよう、父の指示を次郎から伝えられると「私はここにいます。戦が始まるのですね?勝てますか?勝ってもらわねば、困りますよ。北条は強いですよ」。次郎は「北条らが大庭勢と戦っている間に、我が伊東勢が背後を攻め、挟み撃ちに。勝ちます」と図らずも作戦を明かしてしまう。
八重は舟着き場に急ぎ「舟を出しなさい。(挟み撃ちの作戦を)佐殿にお伝えしなければ。舟を出しなさい。佐殿をお助けするのです。早くしなさい。いいから早く」と次郎に命令。次郎は「なにゆえ。できませぬ。私はあなたの夫だ。侮るな!」と叫んだが、舟を出さざるを得なかった。八重は「ひどい女だということは分かっています。いくらでも憎みなさい」。次郎はすすり泣きしながら舟を漕いだ。
愛する頼朝のために動く八重に、またもや手を貸す結果となった次郎。SNS上には「江間殿、お気の毒すぎるな…何という役回り」「監視役とはいえ、つらいねぇ」「江間次郎に感情移入してしまう」「いい加減、今の夫にも心を開いてよ、八重さん」「当時の格差婚、普通に残酷だな…」などと同情の声が続出。大反響を呼んだ。
そして第8回(2月27日)、1180年(治承4年)10月7日、石橋山の大敗から1カ月半、ついに鎌倉入りを果たした頼朝の大軍は総勢3万。一気に劣勢に陥った祐親は伊東館に留まり、頼朝迎撃を決意。「血筋の良さを鼻にかけ、罪人の身で我ら坂東武者を下に見る。あんな男(頼朝)にどうして愛娘をくれてやることができようか!」。さらに「頼朝に決して八重を渡してはならん!攻め込まれたら…分かっておるな」と次郎に“厳命”。次郎は書をしたためる八重の背後に忍び寄り、刀に手をかけた――。
――芹澤さんは中央大学文学部哲学科をご卒業。中学・高校教員免許もお持ちです。俳優の道に進むきっかけは何だったのですか?
「今振り返ると本当に甘い考えで恥ずかしいのですが、大学時代をダラダラと4年間、無為に過ごしてしまって、卒業後もモラトリアムな生活を続ける理由を探すために、逃げるように『自分も何者かになれる』という道を選びました。役者でなくても『何者かになれる』なら、何でもよかったんだと思います。本当に恥ずかしいです。その後、書類を送って、とある事務所に預かってもらうことになりました。タレント、モデル、芸人の方などもいる事務所で、週1回行われていた演技のレッスンに参加。そこで芝居を初体験しました。その後、事務所制作の自主映画に出演して、その映画がゆうばり国際ファンタスティック映画祭で上映されることになり、映画祭に初参加。同じように自主映画を撮っている監督や出演者の方々と出会い、仲良くなり、それから自主映画に参加するようになりました。自主映画を通しての人との出会いや経験によって、少しずつ自分の考え方や人生が変わっていったと思っています」
――今後の活動の展望や理想の俳優像をお聞かせください。
「芝居は人間のやることなので、すべてが完ペキなわけではないですし、もちろん反省点もあります。今回できなかったことも踏まえて、これからも一つ一つ謙虚に丁寧に取り組んでいきたいです。それと、これは自戒も込めてですが、とかく今は色々なことが簡単な言葉で要約されて、その言葉が独り歩きしていきがちな世の中だと感じています。それは確かに分かりやすいし、安心できるし、共有しやすいですし、人々が生きやすくするために編み出した知恵だとも思います。ですが、要約された当事者からしたら少し腹立たしいし、やはり腑に落ちないこともあるんじゃないでしょうか。なので、せめて自分の中では、そういう簡単に要約すること、されることにできる限り抗っていきたいと思います。日常生活でもそうですが、うまく言葉にできない体験や感情の方が却(かえ)って記憶に残るということがあります。感想を言語化しても、見た人の中にまだ語り得ないものが残っていて、それが想像力を刺激するような芝居をしていけたらと思っています。俳優として、というより、人として、そういうところに敏感になりたいと思います」
=おわり=
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