「おかえりモネ」坂井真紀「恐れ多い設定 一生に一度かも」12年ぶり朝ドラ りょーちん母の重責に緊張も

[ 2021年7月6日 08:15 ]

連続テレビ小説「おかえりモネ」第37話。亮の母、新次の妻・及川美波役を好演した坂井真紀(C)NHK
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 女優の坂井真紀(51)が6日に放送されたNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)第37話で本格初登場。ヒロイン・永浦百音(清原果耶)の幼なじみで漁師の及川亮(永瀬廉)の母、新次(浅野忠信)の妻・美波役を好演した。朝ドラ出演は2009年後期「ウエルかめ」以来、約12年ぶり。重要な役に「とてもうれしい気持ちと同時に、動き出している物語に大切なバトンをお渡しするという役目への緊張が襲ってきました」。それでも「浅野忠信さんと内野聖陽さんのマドンナ的な存在という恐れ多い設定に、こんなことは一生に一度かもしれないと、大いに楽しませていただきました」と“及川家の太陽”を体現した。

 <※以下、ネタバレ有>

 朝ドラ通算104作目。清原とタッグを組んだNHK「透明なゆりかご」やテレビ東京「きのう何食べた?」などで知られる安達奈緒子氏が手掛けるオリジナル作品。朝ドラ脚本初挑戦となった。タイトルにある「モネ」は主人公・永浦百音(ももね)の愛称。1995年に宮城県気仙沼市に生まれ、森の町・登米(とめ)で青春を送るヒロイン・百音が気象予報士の資格を取得し、上京。積み重ねた経験や身につけた技術を生かし、故郷の役に立ちたいと奮闘する姿を描く。

 第37話は、百音(清原)の母・亜哉子(鈴木京香)は実は新次(浅野)の通院を手伝っていた。かつて永浦家と及川家は家族ぐるみで仲が良く、耕治(内野聖陽)と新次、その妻・美波(坂井)は亀島で育った幼なじみだった。震災前の2010年4月、新次は新しい船を買う相談のため、よく永浦家を訪問。にぎやかな大人たち横目に、百音、未知(蒔田彩珠)、そして亮(永瀬)は静かにおしゃべりを楽しんで…という展開。

 第6週「大人たちの青春」(6月21~25日)で描かれた耕治と亜哉子の馴れ初め。22歳の耕治が「地元の島に忘れられねぇ人がいます」と亜哉子からの交際申し込みを断った、この女性こそが美波だった。

 両親たちの宴会に、百音は「私、りょーちん(亮)のお母さん、好きだよ。だって、明るいし、みんなのこと、すぐ仲良くさせちゃう。うちのお母さんが島に馴染めてるのも、りょーちんのお母さんがいてくれるからだよ」と感謝。

 宴もたけなわ、美波は「よーし、歌っちゃお!」と押し入れからカラオケを引っ張り出し、耕治・新次とともに14歳だった時の青春ソング、十八番の「かもめはかもめ」をいの一番に披露した。

 そして、新次の新しい船が完成し、餅まき。船をバックに新次・美波・亮の3ショットを耕治がカメラに収めた。第36話(7月5日)、亮が目にして涙したのが、この家族写真だった。

 時は流れ、11年5月。新次は携帯電話の留守番電話に残された最愛の妻の“声”を聞いている。3月11日、午後3時10分。「美波です。亮は学校にいるから、大丈夫。私も今、位牌持って家出るとこ。お父さん、船、沖に出せた?無理しないでね」…。

 重要な役へのオファーに、坂井は「とてもうれしい気持ちと同時に、動き出している物語に大切なバトンをお渡しするという役目への緊張が襲ってきました。制作統括の吉永(証チーフプロデューサー)さんはじめ、スタッフの皆さんの作品への熱い思いが私の大きな力となりました」と心境。

 清原とはWOWOW「湊かなえ ポイズンドーター・ホーリーマザー」(19年)、映画「宇宙でいちばんあかるい屋根」(20年)と2度共演。「私より相当年下ですが、女優さんとして本当に尊敬しています。果耶ちゃんの朝ドラを絶対にいいものにしたいと強く思いました」と意気込んで取り組んだ。

 「浅野忠信さんと内野聖陽さんのマドンナ的な存在という恐れ多い設定に、こんなことは一生に一度かもしれないと、大いに楽しませていただきました。演出の桑野(智宏)さんからも『マドンナ感』と『太陽のような人』というキーワードを頂き、美波が出てくるシーンが、太陽の光が降り注ぐように明るく元気なものになればいいなと思い、演じていました」と役作り。

 「浅野さんと永瀬廉さんの佇まいから、私たち家族の香りが漂ってきました。そして、私たちが歩んで来たであろう道がすっーと見えてきて、私の居た場所が見えました。お二人に温かく迎えていただき、感謝しています。陽気な皆さんに囲まれて、あんなに気持ちよくカラオケを歌わせていただいたことも、とても貴重な経験でした(笑)。撮影期間は短かったのですが、家族として濃厚な時間を過ごしたような気がしています」と振り返り、充実感いっぱいのようだった。

 演出を担当した桑野智宏監督は「ウエルかめ」でヒロイン・浜本波美(倉科カナ)が就職した「ゾメキトキメキ出版」の編集部員・須堂啓役を演じた坂井とタッグ。「非常に柔らかく、温かい人なのは存じ上げていたので、“及川家の太陽”を演じられるのは坂井さんしかいないと思っていました。美波さんはあのいい男2人、耕治さんと新次さんが取り合った女性で、しかも都会的な亜哉子さんとは対比の存在として、少し土のにおいがするような感じも欲しい。こんな難しい立ち位置が成立する女優さんは、なかなかいらっしゃらないと思います。台本を読んだ時から、僕の頭の中の映像は、もう坂井さんで出来上がっていました」と全幅の信頼を明かした。

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