藤井王位、豊島竜王 2冠同士がタイトル戦で初激突 29日から王位戦 

[ 2021年6月29日 05:30 ]

対局会場の名古屋能楽堂で記念撮影に応じる藤井聡太王位(右)と豊島将之竜王(代表撮影)
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 藤井聡太王位(18)=棋聖と2冠=が豊島将之竜王(31)=叡王と2冠=を挑戦者に迎え撃つ、第62期王位戦7番勝負第1局の対局場検分が28日、名古屋市の名古屋能楽堂で行われ、両者が盤駒などをチェックした。瀬戸市出身の藤井に対し、豊島は一宮市。共に愛知県出身の2冠同士がタイトル戦で初めて激突する。

 対戦成績は藤井の1勝6敗。「豊島竜王は序盤の研究が深く、中終盤の鋭さや手厚さ、粘り強さ全てを備えている」。直近の今年1月、朝日杯で初勝利したとはいえ初対戦から6連敗。豊島相手に王位を守るとの意識はもちろんない。

 「対戦は貴重。その機会を生かしたい気持ちは強い」。今月26日、叡王戦挑戦者に決まった藤井は王位戦7番勝負と並行して5番勝負でも豊島と戦う。合わせて最大12番勝負。戦いは9月末まで3カ月続く。

 「いろんな方と対局したが、藤井王位は特別な才能を持つ方。自分は割と一般的な棋士と思っている。対局できるだけでありがたい」。豊島も、相手を持ち上げて油断を誘う「ほめ殺し作戦」のように聞こえるが、小学6年時に藤井の師匠・杉本昌隆八段(52)の研究室で練習将棋を指して以来、才能を認め合ってきた。

 複数冠は両者以外では渡辺明王将(37)=名人、棋王の3冠=のみ。藤井に渡辺が挑む棋聖戦5番勝負は現在藤井が2勝0敗と初防衛へ王手をかける。この12番勝負が終わる頃、永瀬拓矢王座(28)を加えたタイトルホルダーの勢力図が一変する可能性もある。

 検分後、行われたオンライン前夜祭ではシリーズへ向けた意気込みを両者揮毫(きごう)し、藤井は「成」、豊島は「進」とした。「7番勝負を通じて自分自身、成長したい」と藤井、豊島も「シリーズを通して進化したい」とした。立会人の青野照市九段(68)は7番勝負を展望し、「自分からの矢倉や相掛かり。藤井王位がいろんな戦型を試したい気がする」と指摘し、「成」の意図を補足した。

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