「はらぺこあおむし」エリック・カールさん死去 偕成社が追悼と感謝 17年の来日時は書道であおむし

[ 2021年5月27日 17:00 ]

エリック・カールさん(AP)
Photo By AP

 世界的な人気絵本「はらぺこあおむし」などで知られる米国の絵本作家エリック・カールさんが23日、東部マサチューセッツ州ノーサンプトンのアトリエで腎不全のため死去した。91歳。「はらぺこあおむし」日本語版の出版元・偕成社(東京都新宿区)は27日、公式サイトで追悼。2017年の来日時の思い出を明かし、感謝した。

 偕成社はカールさんの作品を70点以上翻訳刊行。「エリック・カールさんをはじめとするご家族の方々とも、長年親しくさせていただきました」。「はらぺこあおむし」は今年、日本語版の刊行から45周年。累計430万部を発行している。

 カールさんが2017年に来日した際には「会社にお招きし、社員総出でささやかなランチパーティーを開催いたしました。『和』のおもてなしを……ということで、社員が書道を披露すると、『ぼくもやりたい!』とたちあがり、あっという間に素敵なあおむしを描きあげてくれたことが、とても印象にのこっています。創作意欲に満ち満ちたアーティストの姿が垣間見られた瞬間でした」と振り返り「たくさんの素敵な作品をありがとうございました。安らかにお眠りください」と感謝した。

 カールさんは生き物を描いた絵本を得意とし、アオムシが果物や葉っぱを食べて美しいチョウになる「はらぺこあおむし」を1969年に出版。70カ国語以上に翻訳された。70冊以上の著書があり、累計1億7000万部以上を出版。日本でも各地で展覧会が開かれ、人気を集めた。

 1929年6月、ニューヨーク州シラキュースでドイツ移民の息子として生まれた。6歳でドイツに渡って現地の美術学校を卒業後に帰国。ニューヨーク・タイムズ紙のグラフィックデザイナーなどとして働き、67年に「くまさんくまさんなにみてるの?」で絵本作家としてデビューした。

 少年時代を第2次大戦下のドイツで過ごした経験から、作品ではグレーなど地味な色を避け、明るい色を選ぶようになったと米紙に述懐していた。

続きを表示

この記事のフォト

2021年5月27日のニュース