木村拓哉主演「教場2」は「蟻穴」も!中江功監督が語る続編の難しさ コロナ禍撮影にジレンマも熱量不変

[ 2021年1月3日 09:00 ]

2夜連続の新春スペシャルドラマ「教場2」に出演する濱田岳と松本まりか(C)フジテレビ
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 俳優の木村拓哉(48)が主演を務めるフジテレビの新春スペシャルドラマ「教場2」は3日午後9時から「前編」、4日午後9時から「後編」と2夜連続放送される。木村が警察学校の鬼教官を演じ、好評を博した昨年の新春ドラマに続く第2弾。演出を手掛けた同局の名匠・中江功監督(57)に撮影の舞台裏を聞いた。

 原作は「週刊文春ミステリーベスト10」第1位(2013年)、「このミステリーがすごい!」第2位(14年)を獲得し、13年にミステリー界を席巻した長岡弘樹氏の同名小説。警察学校を舞台に繰り広げられる人間模様を描き、新しい警察小説としてベストセラーに。シリーズ化され、累計90万部(紙+電子)を数える。

 昨年1月4、5日にフジテレビ開局60周年特別企画としてファン待望の映像化が実現。役者人生初となる木村の白髪姿や冷酷無比なキャラクターが新境地と話題を呼び、緊迫のストーリー展開も相まって前編15・3%、後編15・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、世帯)と高視聴率をマークした。

 木村が引き続き演じるのは、神奈川県警警察学校が誇る“最恐”の教官・風間公親(かざま・きみちか)。異様に鋭い観察眼を持つ風間は問題のある生徒たちの微細な変化を察知し、徹底的に追い詰め「君にはここを辞めてもらう」と次々に退校届を突き付ける。

 今回は前作から2年後。200期の生徒が入学してくる。200期の生徒役に濱田岳(32)福原遥(22)矢本悠馬(30)杉野遥亮(25)Snow Man・目黒蓮(23)眞栄田郷敦(20)岡崎紗絵(25)戸塚純貴(28)高月彩良(23)乃木坂46・樋口日奈(22)ら若手実力派が集結。副教官見習い役として松本まりか(36)が新加入した。

 第1弾ラストに登場した199期の生徒役、上白石萌歌(20)三浦貴大(35)佐久間由衣(25)嘉島陸(22)も引き続き出演。上白石演じる石上史穂は休学後、200期の生徒として復学。ジャニーズWEST・重岡大毅(28)が物語のカギを握る199期の生徒を演じる。

 前作メインの198期の生徒役、工藤阿須加(29)川口春奈(25)葵わかな(22)富田望生(20)味方良介(28)村井良大(32)大島優子(32)三浦翔平(32)も再び登場。学校長役・小日向文世(66)副教官役・佐藤仁美(41)副教官役・和田正人(41)事務員役・高橋ひとみ(59)が続投した。

 演出は水曜劇場「若者のすべて」(1994年)「ギフト」(97年)、木曜劇場「眠れる森」(98年)、月9ドラマ「空から降る一億の星」(02年)「プライド」(04年)などの作品を手掛け、木村と共にテレビドラマ界の伝説を築いてきた中江監督。昨年の「教場」が木村とは「プライド」以来、久々16年ぶりのタッグとなった。

 続編制作が決定したのは昨年2月頃。前作のインタビュー時、木村との次回作として「『教場2』もやりたいんですよね」と語っていた中江監督だが、いざ決まってみると「そう簡単に『よし、やるぞ!』という気にはならなかったですね」と苦笑い。「もう一度、新しい生徒役のオーディションをして、警察学校の所作訓練も一から始めないといけません。ストーリーを練る作業もありますし、自分が言うのも何ですが(笑)撮影自体、大変。前回は結構ハードなことをしていたんだと、あらためて感じました。とはいえ、求められるのは、ありがたいことなので。まずは(脚本の)君塚(良一)さんと相談しようと思いました」

 今回は「あまりにエグいので無理だね、と前作で真っ先に外した」という原作の一編「蟻穴」などが描かれる。脚本は“冬彦さん現象”を巻き起こしたTBS「ずっとあなたが好きだった」(92年)やフジテレビのメガヒット作「踊る大捜査線」シリーズなど、数々の名作を手掛ける君塚良一氏(62)。上白石演じる石上史穂の復学など、君塚氏のアイデアが随所に生かされ、中江監督は「さすがは『踊る』で、あれだけのエピソードをお書きになった君塚さん。まさにネタの宝庫で、今回もストーリー作りは全然困りませんでした」と絶賛した。

 続編の難しさについては「第1弾から方向性を変えると『前の方がよかった』、変えないと『前と一緒』という人もいますから、かなり悩みました」と率直に吐露。「君塚さんとも話をして、前回作り上げたフォーマットに則ったものでいいんじゃないか、と。警察学校のカリキュラムがコロコロ変わることもないですし、生徒役の役者さんも事件のエピソードも違うので、基本的な部分は大きく変えないという結論になりました。ただ、こればっかりは視聴者の皆さんがどうお感じになるか分かりません」

 中江監督には「Dr.コトー診療所」シリーズがあるが「あれも、あまり変えなかったですね。『コトー』も『教場』も主人公のキャラクターが確立しているので、ブレずに撮れたと思います」。視聴者の反応を気にしながらも、基本線を貫いた。

 昨年9~11月に撮影。万全な新型コロナウイルス対策を採り「木村くんがキャスト・スタッフ全員に『教場』オリジナルマスクを作ってくれました。これは、この時期ならではですよね。木村くん本人がコロナ対策にしっかり向き合ってくれたので、現場に徹底することができました」

 ただ「人に近づけないジレンマ、コミュニケーションが取りづらいストレスはありました。ずっとマスクをしているので、役者さんのリハーサルの感触も表情からは分からない。顔をちゃんと覚えずに終わったスタッフもいました。食事も一緒に取れないので、今まで撮影以外の時間がいかに大事だったかということも痛感しましたね」とコロナ禍の苦労もあった。

 昨年6月には、唯一のキャスト・林遣都(30)が1人3役を演じた“ソーシャルディスタンスドラマ”「世界は3で出来ている」を演出・プロデュース。「今後も新しい形の作品が生まれる可能性はありますが、現場としてはコミュニケーションをどう密に取っていくかが課題だと思います。ちょっと気を抜くと、コミュニケーションが薄いのまま撮影が終わってしまって、一番よくないのは、それが作品に表れてしまうこと。そのことは木村くんも分かっていて、前回同様、座長として現場を引っ張ってくれました」

 オンエアを前に、木村も「この状況下、コロナ禍で撮影するとなった時、所作訓練も含め、精神的にもすごくタフさが求められた現場だったと思います。にもかかわらず、みんな、誰1人腐ることなく取り組んでいました」とコメント。出演者・スタッフの変わらぬ熱量が凝縮された「教場2」が今夜、幕を開ける。

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2021年1月3日のニュース