新井浩文被告、懲役「4年」に1年軽減も実刑変わらず…示談金300万円は“許さない"意思表示

[ 2020年11月18日 05:30 ]

新井浩文被告
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 派遣型マッサージ店の女性従業員に乱暴したとして、強制性交罪に問われた元俳優新井浩文(本名・朴慶培=パク・キョンベ)被告(41)の控訴審判決で、東京高裁は17日、懲役5年とした一審判決を破棄し、懲役4年を言い渡した。新井被告は控訴審初公判までに被害者と示談を成立させていただけに、執行猶予付き判決が出るという見立てもあったが、実刑判決に変わりはなかった。

 初公判と同様、新井被告は法廷に姿を見せなかった。細田啓介裁判長は「一審判決の結論は当裁判所も支持できるものと判断した」と指摘。その上で、新井被告が昨年12月の東京地裁判決後に示談金を支払い、女性との和解が成立したことを考慮して、刑を1年軽減した。

 判決要旨によると、示談金の金額は300万円。一審では弁護側が、事件後に1000万円、起訴直前に2000万円の示談金支払いを申し入れたが、いずれも拒否されたことを明かしていた。

 示談が成立したのに、なぜ再び実刑判決が下ったのか。刑事事件に詳しい嵩原安三郎弁護士は「示談金は損害への支払いと、処罰感情に対する手当の2種類で構成される。新井被告は損害への支払いしかできておらず、処罰感情に対する手当は受け取ってもらえなかった」と説明する。

 細田裁判長は1年軽減した理由について「被害者の宥恕(ゆうじょ)は得ていないものの賠償の措置を講じた」と述べた。「宥恕」とは相手を許すことを意味する。嵩原弁護士は「示談書に被害者の宥恕文言が入っていると裁判官の心証は大きく変わる。今回のケースは宥恕文言が入っておらず、被害者が“事件で生じた損害は補てんしてもらったけど、新井被告のことは許さない”という意味合いの示談だった」と話した。

 弁護側は一審で控訴や上告も視野に入れていることを示唆し、徹底抗戦する構えを見せた。上告した場合、判決が変わる可能性はあるのか。嵩原弁護士は「差し戻しや減刑の可能性はかなり低い」と指摘。実刑判決となれば、新井被告が国内で俳優復帰する道はさらに困難になり、窮地に追い込まれた。

 ◇新井 浩文(あらい・ひろふみ、本名朴慶培=パク・キョンベ)1979年(昭54)1月18日生まれ、青森県出身の41歳。高校中退後に「有名になりたい」と19歳で上京。荒戸源次郎氏と知り合い、01年に映画「GO」でデビュー。02年に「青い春」で映画初主演。出演作に映画「ヘルタースケルター」「永遠の0」、NHK大河ドラマ「真田丸」など。1メートル81。血液型A。

【事件経過】
 ▼18年6月30日夜 友人と飲酒
 ▼7月1日未明 女性を自宅で乱暴
 ▼同日朝 女性が警察に被害を相談
 ▼8月28日 女性が被害届提出
 ▼19年2月1日 強制性交容疑で逮捕
 ▼5日 所属事務所に契約を解除される
 ▼21日 強制性交罪で起訴
 ▼27日 保釈金500万円で保釈
 ▼9月2日 初公判で起訴内容を否認
 ▼26日 第2回公判
 ▼10月23日 第3回公判で検察側が懲役5年を求刑
 ▼12月2日 判決公判で懲役5年の実刑判決。新井被告は即日控訴
 ▼20年10月12日 控訴審初公判。女性と示談が成立したことが明らかに
 ▼11月17日 控訴審の判決公判で懲役4年の実刑判決

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2020年11月18日のニュース