鈴木京香 50代も意気軒昂「グランメゾン東京」のおかげ「やっと一回り」苦手の歌やバラエティーも挑戦

[ 2019年10月27日 09:00 ]

鈴木京香インタビュー

日曜劇場「グランメゾン東京」の“ヒロイン役”を務める鈴木京香(C)TBS
Photo By 提供写真

 “映画少女”だった鈴木京香(51)は1989年の女優デビューから30年。柔軟な演技力と清楚な美貌で日本のドラマ界、映画界を彩ってきた。11年ぶりの日曜劇場出演で“ヒロイン役”を務めるTBS「グランメゾン東京」(日曜後9・00)は新たな転機になりそうだ。「(今後は年齢的に)どうしても役の幅が狭まってくる可能性もあると思うんですが、今回のように、まだまだ夢を追い掛けてチャレンジしていく女性の役を頂けたのは、私にとって凄く大きいこと。自分の頑張り次第で、これからも新しい役にまた巡り会えると思えるようになりました。それは、今回のドラマのおかげ」。50代を迎えた心境や今後の展望などについて聞いた。

 主演の木村拓哉(46)にとっては令和初のドラマ出演となり、料理のためならどんな犠牲も厭わない型破りなフランス料理のシェフに挑む。パリの二つ星フランス料理店「エスコフィユ」を経営していたが、己の“慢心”から招いた重大事件により店も仲間も失った主人公・尾花夏樹(木村)が女性シェフ・早見倫子(鈴木)と出会い、どん底から再起を図り、もう一度シェフとして生き直して三つ星レストラン「グランメゾン東京」を作り上げようと奮闘する姿を描く。

 脚本は「謎解きはディナーのあとで」「ストロベリーナイト」「僕のヤバイ妻」などの黒岩勉氏、チーフ演出は「夜行観覧車」「Nのために」「アンナチュラル」などの塚原あゆ子氏が務める。共演は沢村一樹(52)及川光博(49)尾上菊之助(42)Kis―My―Ft2の玉森裕太 (29)ら。

 鈴木が演じる倫子は、食べると、その料理の素材と調理工程が分かる絶対的な味覚の持ち主。腕とセンスは一流で、念願のレストランを開き、何度も星の獲得にチャレンジしたが、失敗。闘病中だった母親に尾花の記事を紹介されて一緒に「エスコフィユ」を訪れ、その料理を味わう。その味に衝撃を受け、再挑戦を決意。パリの三つ星レストラン「ランブロワジー」で面接を受けている最中、ひょんなことから尾花と出会い「星を獲らせてやる」と言われ、一緒にレストランを立ち上げることに。彼の無理難題に振り回されながらも、料理人として尊敬し、また自分自身も見つめ直していく。

 宮城県出身。中学生の時は陸上部だったが「中3の大会が終わると、部活を辞めるじゃないですか。それからは文化的な方に興味が出てきて、よく映画館に行くようになりました。映画は小学生の時から好きで、オードリー・ヘプバーンやマリリン・モンロー、ヒッチコック監督など、昔の映画を母と一緒に見に行っていました。中1の時には『ラ・ブーム』(主演ソフィー・マルソー)というフランス映画がとても流行りました」。その頃はノートに感想文を書いていた。「当時は週に3回ぐらいテレビで映画を放送していて、新聞のラテ欄を切り抜いて、その下に感想文を書いて。以前、田舎に帰った時に、そのノートが出てきて、凄く恥ずかしかったということがありました」と照れ笑いした。

 「とにかく映画は好きだったんですが、女優というのは頭にありませんでした。今は全然なのですが、当時は英語が得意だったので、(映画字幕翻訳家の)戸田奈津子さんみたいなりたいと思ったり。感想文を書いたりしているということは、映画記者や評論家になりたかったのかもしれませんね」

 仙台の大学に在学中からモデル活動を開始。89年、映画「愛と平成の色男」で女優デビュー。91年、NHK連続テレビ小説「君の名は」のヒロインに抜擢され、一躍、知名度を上げた。

 「君の名は」の放送期間は1年間。「いろいろな俳優さん、女優さんとご一緒させていただいたのは貴重な経験です。どういうふうに役を捉えて表現するという基本的なことは朝ドラに教えてもらったんだなぁと思うことが今も実感としてあります」と女優業の原点になった。

 その後はドラマ「王様のレストラン」「きらきらひかる」「華麗なる一族」「セカンドバージン」「夜行観覧車」「未解決の女 警視庁文書捜査官」、映画「ラヂオの時間」「39 刑法第三十九条」「竜馬の妻とその夫と愛人」「血と骨」など数々の話題作、ヒット作に出演。トップ女優の仲間入りを果たした。

 今後について尋ねると「(年齢的に)どうしても役の幅が狭まってくる可能性もあると思うんですが、今回のように、まだまだ夢を追い掛けてチャレンジしていく女性の役を頂けたのは、私にとって凄く大きいこと。自分の頑張り次第で、お母さん役だけじゃなく、もちろんお母さん役も演じたいんですが、これからも悪女とか新しい役にまた巡り会えると思えるようになりました。それは、今回のドラマのおかげ。心優しいおばあちゃん役ができるようになるまで、まだまだ勉強しながらやっていきたいと思います」。今作が女優としての可能性を広げ、ますます意気軒昂となるきっかけになった。

 今年2月には、お笑いタレント・藤井隆(46)の全面プロデュースによるCD「dress―ing(ドレッシング)」(3曲入り)をリリース。「歌は本当に苦手だったんですが、50歳で決心して挑戦しました」。今月6日に放送された「関口宏の東京フレンドパーク2019」で壁にくっつくなど体を張り、17日に放送された「櫻井・有吉THE夜会」で木村と沢村のパリロケに“乱入”し、絶叫マシンに乗った。

 「あとはトークも本当に苦手で。ゆっくり落ち着いて話す分には普通におしゃべりなんですが、時間制限がかかると、余計なことを言って番組の足を引っ張らないか心配になって…。苦手だから難しいことと、無理に我慢してやっていたら歌やバラエティーも嫌いなままかもしれないんですが、もう51(歳)になって、やっと一回りして(笑)今やれたから、楽しかったんだと思います。これからは変に遠慮したりせず、(制作者が)私にやらせてみようと思ってくださったことは皆さんが引かない程度にチャレンジしたいと思います(笑)。是非お楽しみに」

 女優として円熟期を迎え、第一線を走り続ける鈴木の“新しい顔”にも期待したい。

続きを表示

2019年10月27日のニュース