大河「いだてん」異色ずくめの“号砲”7大要素も訓覇CP「結果的」勘九郎が“伝統”背負う

[ 2019年1月6日 06:00 ]

大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」にリレー形式でダブル主演する中村勘九郎(上)と阿部サダヲ(C)NHK
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 歌舞伎俳優の中村勘九郎(37)と俳優の阿部サダヲ(48)がダブル主演を務めるNHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」(日曜後8・00)は6日、初回を迎え、1年間の長丁場のスタートを切る。2013年前期の連続テレビ小説「あまちゃん」で社会現象を巻き起こした脚本家の宮藤官九郎氏(48)が大河脚本に初挑戦。オリジナル作品を手掛けることもとあり、異色要素が盛りだくさん。制作統括の訓覇圭チーフプロデューサー(CP)に話を聞いた。

 大河ドラマ58作目。20年の東京五輪を控え、テーマは「“東京”と“オリンピック”」。日本が五輪に初参加した1912年のストックホルム大会から64年の東京五輪まで、日本の激動の半世紀を描く。

 第1話は「夜明け前」。1959年、五輪招致目前の東京。大渋滞の日本橋を通りかかった落語家の古今亭志ん生(ビートたけし)は寄席に向かっていた。その日、高座で志ん生が語り出したのは、50年前の日本のオリンピック初参加にまつわる噺。1909年、柔道の創始者・嘉納治五郎(役所広司)は12年のストックホルム大会を目指して悪戦苦闘していた。スポーツという言葉すら知られていない時代。初の派遣選手をどう選ぶか。日本オリンピック史の1ページ目を飾る物語――。

 【異色要素その1】“近現代大河”は86年「いのち」以来33年ぶり。「いのち」は大河ドラマ24作目。橋田壽賀子氏(93)が脚本、三田佳子(77)が主演を務めた。時代設定は昭和20年からの戦後40年。「いのち」を愛おしむ女医・岩田未希(三田)が妻、母、嫁として葛藤を抱えながら、医療に情熱を燃やす人生を描く。最も新しい時代を舞台にした大河ドラマで、歴史上の人物が登場しない。当時も異色とされた。

 【異色要素その2】主演リレーは00年「葵 徳川三代」以来19年ぶり。その前の主演リレー、93〜94年「炎立つ」は大河ドラマ32作目。平安時代末期、東北の都・平泉に君臨した奥州藤原氏の四代にわたる興亡を、清衡の父・経清の時代から壮大につづる3部構成。渡辺謙(59)が1部(経清)と3部(泰衡)の主役を演じ分け、2部は村上弘明(62)が清衡を演じた。「葵 徳川三代」は大河ドラマ39作目。津川雅彦さんが徳川家康、西田敏行(71)が徳川秀忠を演じた。

 【異色要素その3】「昭和の大名人」と呼ばれる落語家・古今亭志ん生(1890〜1973)が物語をナビゲート。志ん生役にビートたけし(71)、若き日の志ん生・美濃部孝蔵役に俳優の森山未來(34)。志ん生の視点が加わることにより、ドラマは重層的になる。宮藤氏は「いだてん」が決まる前から志ん生の人生に興味。「ちょうど金栗さん(1891年生まれ)と志ん生さん(1890年生まれ)がほぼ同い年。志ん生さんがオリンピックに関わっていた史実は全くないので創作になるんですが、志ん生さんがちょっと斜(はす)にオリンピックを見て噺(はなし)をするというのはいいかなと思いました」と志ん生の高座がストーリーテラーの役割を果たすという“仕掛け”を考案。「例えば、マラソンのレース42・195キロをずっとロケで見せるわけにもいかないじゃないですか。そういう時に落語を挟めば、だいぶ経費も抑えられるので」と笑いを誘った。

 【異色要素その4】第1話は主人公・金栗四三の幼少期から始まらない。1959年、五輪招致目前の東京と、その50年前の1909年、柔道の創始者・嘉納治五郎(役所広司)が12年のストックホルム大会を目指し、悪戦苦闘。2つの時代が目まぐるしく交わる複雑な構成は「木更津キャッツアイ」で時間の巻き戻しや早送りを巧みに使用してストーリーを展開した宮藤脚本の真骨頂。第1話に四三がなかなか現れず、訓覇CPは「第1話の主役はオリンピック、というイメージ」。第2話(1月13日)で四三の幼少期が描かれる。

 【異色要素その5】ドラマの最後に「史実を基にしたフィクション」という“異例”の注釈テロップが表示される。訓覇CPは「ドラマはもともとフィクションなので、別段表示しなくてもいいんですが」としながら、膨大な取材から事実を探し出して脚本を作っているだけに「事実の大切さとフィクションの楽しさ、両方を持っているドラマという自分の思いも込めました」と説明した。例えば、日本最初のスポーツ同好会「天狗倶楽部」の面々はすぐに服を脱ぐが「どれだけ早く上半身裸になったかは想像ですが、彼らは裸の写真が多く、それは間違いなく事実。宮藤さんが考えた“ネタ”と思われないように」と注釈の意図を明かした。

 【異色要素その6】ゆかりの土地をナレーションとともに紹介する約1分半の映像で、ドラマの最後に流れる“大河紀行”が例年と趣を変え、初回は柔道男子日本代表監督で00年シドニー五輪100キロ級金メダリスト・井上康生氏(40)へのインタビューが放送される。訓覇氏は「内容は自由にやろうと思っています。今回は『場所』の紹介よりも、今の時代とつながっている話なので、おもしろい事実があれば紹介したい。毎回いろいろやるつもりなので、人物が登場するのも一つの試みです」と企画意図を説明した。

 【異色要素その7】近年稀に見る大量の“番宣”も実施。主なところでも、4日は勘九郎と綾瀬はるか(33)が「あさイチ」、勘九郎、阿部、綾瀬らが「ごごナマ」に生出演。阿部、綾瀬、生田斗真(34)が4日放送の「チコちゃんに叱られる!」にゲスト出演。4日放送の「ファミリーヒストリー」は宮藤氏を取り上げた。5日に「チコちゃんに叱られる!」、6日に「ファミリーヒストリー」を再放送。6日は勘九郎、阿部が「おはよう日本」「ダーウィンが来た!」に出演。NHKの気合の入れようが分かる。

 「いだてん」は「あまちゃん」でタッグを組んだ宮藤氏と訓覇CPが「また何かおもしろいことを」と新企画を練り始め、当初は大河ドラマという枠やオリンピックという題材は前提にしていなかった。結果的に今作のナビゲーターに据えることになったが、宮藤氏は志ん生の人生に、訓覇CPは20年の東京五輪を前にスポーツを題材にしたドラマなどに興味を持っていた。これらが次第に形となり、17年4月、タイトルと主人公&主演の2人が発表された。この時、訓覇CPは「宮藤さんと『大河ドラマで、オリンピックってありますかね?』と最初に雑談したのは、2年半ほど前(14年10月)のこと」とコメントしている。

 “異色の大河”と呼ばれることについて、訓覇CPは「何がおもしろいか、純粋に物語の素材からスタートしているので、大河ドラマを変えたい、新しくしたいということは全くありません。やってみたら、結果的に異色になったという感じです」と特別な意識はない。

 その上で、主宰の松尾スズキ氏(56)が生み出す唯一無二の笑いと個性的なメンバーで日本の演劇界を30年間牽引してきた「大人計画」の宮藤氏と阿部が「いだてん」の“異色”の側面を担うなら、勘九郎が“伝統”を背負うとした。

 勘九郎の父、故中村勘三郎さんは99年の大河「元禄繚乱」に主演。親子2代の大河主演は故緒形拳さんと緒形直人(49)に続く史上2組目となり、17年4月の制作発表時、勘九郎は「素直にうれしいです。歌舞伎俳優なのに近代を演じる自分の方が、ちょっと勝ったんじゃないか」とニンマリした。

 訓覇CPは「勘九郎さんはポジティブに伝統を背負っていて、体から伝統がにじみ出ている人。宮藤さんと阿部さんが突っ走った時、勘九郎さんが2度タッグ(「大江戸りびんぐでっど」「天日坊」)を組んだ宮藤さんの脚本の世界観を理解しながら大河らしさをキープしてくれる。日本人としてオリンピックに初出場した金栗さんは“日本という伝統”を背負わされ、苦しめられる人ですから、勘九郎さんが演じることで、よりリアリティーが出てくると思います」と異色大河の中にある“大河らしさ”に期待している。

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