秋元康劇団「$4.50」で注目 福島雪菜 クールな美少女が殻を破った3日間の涙

[ 2017年12月30日 10:30 ]

インタビューに答える福島雪菜
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 秋元康氏(59)がプロデュースする劇団「$4.50(4ドル50セント)」。11月のプレ公演は、3ステージ分のチケット計750枚が5分で完売するなど大きな反響を呼んだ。来年2月の本公演に向けて劇団員30人が個々に活躍の場を広げる中、注目度が急上昇している女性メンバーに迫った。

 端正な顔立ちで華やかな雰囲気を放つ福島雪菜(19)は、自らを「一匹狼」と称するクールな性格。そんな彼女が劇団でもまれて「私はここで売れたい」と熱っぽく語るようになってきた。

 キッズモデル出身で、高校入学を機に地元大阪から上京。転勤で単身赴任となっていた父親と2人暮らしをしながら、芸能活動を続けた。高校3年だった昨年の進路選択でモデルを専業にする道も視野にいれたが、「周りは凄くスタイルが良くて身長も高い。1メートル56と身長の低い私は公開処刑のようだった」と断念。看護師の母から、看護師の専門学校を勧められた時に「どうしても人前に立つ仕事で自分に合うものを見つけたい」と覚悟を決め、告知されていた劇団のオーディションをラストチャンスと位置づけた。応募者5000人以上の難関を突破し、結果を案じていた母親にLINEで「受かったよ。」と短く報告。「良かったやん」。その返信で福島には十分だった。

 11月のプレ公演に向けた宣伝活動の一環として、劇団員が個々に生配信サイトでファンとじかに接触。福島はすっぴんやスイーツやをむしゃむしゃ食べるなど飾らない様子が人気になり、観覧者は最大1万人に達した。劇団関係者は「劇団員のそれぞれの平均観覧者数は約1000〜2000人。短期間で1万人という数字は驚異的だ」と高く評価する。

 転機になったのはプレ公演の1週間前。自身の引き出しにはなかった突き抜けてふざけた役柄に大苦戦した。地声の高さがあだとなり「声は出るようになったが、テンションが上がると、チワワがキンキン鳴いているようになってしまう」と叱られ続けた。「頑張ってもダメ。正解が分からなくなっていた」と深みにはまった。

 福島の演技で成否が決まる重要な場面だっただけに、自らのふがいなさに人生で初めて人前で悔し涙をこぼした。3日間泣き通し、目を腫らしながら稽古を続けた。「帰りの電車の中でも泣いてしまって、酔っ払いの人にまで心配された」と振り返る。

 「一匹狼」と思っていた福島の救いが仲間だった。リーダーの岡田帆乃佳(21)、隅田杏花(21)、谷口愛祐美(19)、堀口紗奈(19)ら同年代とは特にウマが合い、「コスパが良いから」とファストフード店や回転ずしなどに行って反省会。誰かが落ち込んだ日はSサイズで100円ちょっとのシェイクやジュースをおごってもらい、、愚痴もこぼしながら励まし合った。そのうち男性メンバーも集まるようになり、店の一角が気づけば劇団員という日も。11月3日のプレ公演本番まで時間が迫る中、「私がしっかりしなければ」と吹っ切れて、手応えをつかんだ。本番前日には「お金の負担にならないように」とファストフード店でささやかな決起集会を開き、晴れ舞台に立った。

 「勉強も本気にやったことがなく、クラブ活動もしてこなかった」という福島は「これほど汗をかいて熱量を出す経験は生まれて初めて」と言葉に力を込める。「今まで感情を表に出すのが苦手だと思っていたけど、人前でわんわん泣いて自分が負けず嫌いだったことに気づいた。来年に向けてチャンスをもらったら形にしていける年にしたい」。2月8〜12日に東京・紀伊國屋ホールで行われる旗揚げ本公演に向けて主要キャストを選ぶオーディションが劇団内で開催中。もちろん主役の座を射止めるつもりだ。

 劇団は、1月3日から3日間にわたって愛知県蒲郡市のラグーナテンボスで開催される音楽イベント「ラグーナミュージックフェス2018」の2日目となる4日に出演。歌やダンスなどパフォーマンスを披露する。

 ◆福島 雪菜(ふくしま・ゆきな) 1998年(平10)11月11日生まれ、大阪府出身。趣味は多彩で料理作り、1人旅、御朱印集めなど。3人きょうだいの長女で弟、妹がいる。1メートル56、43キロ。血液型O。

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