古舘氏「すべらない話」初参戦 芸人の話術に刺激「マネちゃダメだけど…」

[ 2016年7月8日 08:00 ]

「人志松本のすべらない話」に初参戦した古舘伊知郎氏

 フリーアナウンサーの古舘伊知郎氏(61)が9日放送のフジテレビ「人志松本のすべらない話」(後9・00)に初参戦する。3月31日に12年間務めたテレビ朝日「報道ステーション」のキャスターを卒業した“しゃべり手”が、第30回を迎える話芸の祭典に挑戦。歴戦のお笑い芸人たちとの異種格闘技戦を終えた直後の古舘氏を直撃した。

 「楽しかったですね~。いくつもの自分と出会えたという感じで。かぶりつきでみんなの話を聞いて『うまいなぁ』『おもしろいなぁ』と視聴者の方と同じ気持ちになって楽しんでいる自分がいて。その30~40秒後には『僕らアナウンサー系には“ドーン”とオチをつけて爆笑を取るっていうテクニックはないよなぁ』って、一生懸命、脳内にメモを取るみたいな。自分にはないテクニックを刻もうと思って。すると『そういうのはいいんだよ。素直に楽しめばいいんだよ』という自分が出てきたり。何かね、親戚の法事の集まりみたい」と独特のワードセンスで収録の感想を表現。インタビュー場所の控室を笑いで包んだ。

 「うるさい親戚のおじさんがいたり、訳知りで長老みたいなおじいさんがいたり。自分の脳内で7~8人、出てくる感じでしたよ。こういうのを葛藤っていうんだなぁと思って。いろんな自分がささやいている。楽しんでみたり、前に出たいと思ってみたり。バラエティーの仕事でも、どんなテレビの仕事でも、あまりそういうのはありませんね」

 6月1日、東京・恵比寿でトークライブ「微妙な果実~トーキングフルーツ」を開催して復帰。1988年から2003年までマイク1本で行ったトークライブ「トーキングブルース」(14年、一夜限りで11年ぶりに復活)同様、2時間ノンストップ、ぶっ通しでしゃべり続けた。

 「今回の『すべらない話』は準備らしい準備はないんです。というのは、自分が体験した話なので、既に脳内にあるわけですよ。実体験というネタが。だから、それを短くしなきゃいけない、ちゃんとしゃべらなきゃいけないということは、おさらいしましたけど。メモを書いたり、練習してみたりというのは一切ないです。『トーキングブルース』のような2時間以上、1人でぶっちぎりでしゃべる時は、話の組み立てを頭の中でシミュレートしたり、それなりに準備をするんですが、今回は何を話そうかなというチョイスだけでしたね」

 視聴者として楽しんでいた「すべらない話」だが、初参戦して気付いたことがあった。「これは、お笑い党首討論会。凄まじい緊張感の中で、みんな、おもしろい話をする。ただ、十分おもしろいなんだけど、爆発的なウケがなかったりすると、芸人さんは『何や、そりゃ!』『それはさっき聞いたわ!』とか、寄ってたかって入ってきて、結果、爆笑に持っていく。ギリギリまでは個人競技で、ウケるかウケないか、すべっちゃいけないと、みんな闘っているんだけど、最終的にはチームプレーになるじゃないですか」と分析。「で、そういう時、ちょっと寂しかったです。僕だってツッコミたいんですよ。でも、お笑いの方とは普段、面識も付き合いもないから、いきなり言うのは失礼じゃないですか。だから、黙っていました。『太平洋ひとりぼっち』ですよ。(海洋冒険家の)堀江謙一さんが1人、ヨットに乗っているよう感じでした」。目の前で聞く古舘節に大笑いだった。

 手練れの芸人たちによる話芸に感心し、千原ジュニア(42)を例に出した。「ここが締めだと思ったら、そこから、さらにもう1つ、盛り上がりがある。ある種のどんでん返しと言っていいと思います。全盛期のハリウッドのサスペンス映画のような感じがありました。ここで終わりだと思ったら、さらなるおもしろみがもう1つ隠されていた。すごいね、こういうオチの作り方するんだ。でも、僕はマネしちゃいけないと思うんですよ。ああいうのはマネちゃ、絶対ダメ。インドで映画を作っている人がハリウッドの作りをマネちゃダメ」と言った矢先に「オレ、たぶんね、1週間以内にアナウンサーの後輩を集めて、すべらない話をやっていますよ」と切り返して爆笑を誘った。

 「ちょっと話を練りたい。ホントはイケないんですよ。自分の培ったものをうまく改良して切磋琢磨するのが大事なんで。全く違うジャンルのうまい人のマネなんか、やってもダメ。だけど、我慢できない。宴会とかで必ず試します。『どうだ、オレのしゃべりは』とか聞いちゃいます」。百戦錬磨のトークの達人・古舘氏も大いに刺激を受けたようだ。

 2回目の出演について水を向けると「1回、出たら、新鮮味がないじゃないですか」と否定したかと思いきや、絶妙の間で言下に「だから、相当、話を練って出たいですよ」。笑いの絶えない取材になった。「仮定の話に言うことはないんだけど、もし、もう一度、出演することになったら、ちゃんと練らないと。練ったものを最終的にバラして出ないとダメですよね。練り込んでやると、今度は嫌味になるじゃないですか。『出来すぎてますね、この話、きれいに起承転結まとまってますね』っていうことになって。『いよっ!名人芸』って悪い意味で皮肉られますから。一度練ったものをもう一度解体して、雑な状態にして出なきゃダメだから。間を置かなきゃダメですよね。でも、たまにしかやらない番組だから、次回でもいいですよ」と冗談めかし、再参戦に色気を示した。

 【第30回キャスト】松本人志、千原ジュニア、宮川大輔、河本準一(次長課長)、ケンドーコバヤシ、星田英利、兵動大樹(矢野・兵動)、小籔千豊、宮迫博之(雨上がり決死隊)、古舘伊知郎

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