藤野涼子 偽りなき15歳の体当たり演技 スポニチグランプリ新人賞

[ 2016年1月21日 06:00 ]

スポニチグランプリ新人賞を受賞。みずみずしい魅力がまぶしい藤野涼子

 節目の70回目を迎えた2015年毎日映画コンクールの各賞が20日、決定した。将来が楽しみな若手に贈られるスポニチグランプリ新人賞には「ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判」の藤野涼子(15)と「トイレのピエタ」の野田洋次郎(30)が選ばれた。表彰式は2月16日、川崎市のミューザ川崎シンフォニーホールで行われる。

 新人豊作に沸いた2015年の日本映画界。とりわけ逸材がそろった女優の中で神奈川県の高1少女が“一番星”に輝いた。ヒロインの名前を芸名にもらった藤野だ。

 「新人賞は(共演した)生徒33人、みんなで頂いたもの。感謝の気持ちでいっぱいです」

 多くの映画賞で高い評価を受け、まるで“ソロモンの飛翔”といったところだが、初々しく謙虚に喜びをかみしめた。

 宮部みゆきさんの原作を成島出監督が2部構成で映像化したミステリー大作。中学校の校庭で見つかった同級生の転落死体。自殺なのか他殺なのか…。真相を学校内裁判で明らかにしようとする主人公に体当たりした。

 半年間に及んだオーディションで約1万人の中から主役を射止めた。当時中学3年生。ほとんど演技経験のない少女が背負うプレッシャーは、想像を絶するものだったはずだ。2本分の分厚い台本、そして膨大なセリフの量。裁判の中でもクライマックスシーンは一番きつかったと正直に振り返った。「検事役なので、ふだん使わない用語もたくさんあって、分からないところは監督に教えてもらいました」と苦闘しながら立派に乗り切った。現場を訪れた原作者の宮部さんからも「“わあ、涼子ちゃんだ。そのままだ”と言葉を掛けていただきました」とお墨付きをもらい「うれしかったです」とはにかんだ。

 物語は社会が抱えるさまざまな問題も内包している。後を絶たない中高生の自殺の報道には胸を痛めている。だからこそ撮影中は「自殺がなくなってほしいと念じながら涼子を演じていました」と思いを込めた。

 ◆藤野 涼子(ふじの・りょうこ)本名非公表。2000年(平12)2月2日、神奈川県生まれの15歳。小学5年生から芸能活動を開始。高校ではダンス部に所属。得意科目は理科。6月に2作目「クリーピー」(監督黒沢清)の公開が控える。

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