大空祐飛 蜷川舞台で11年ぶり女役「凄いチャレンジ」

[ 2013年3月22日 07:00 ]

蜷川幸雄氏演出の舞台で再出発することになった宝塚の元トップスター大空祐飛

 宝塚歌劇団宙(そら)組のトップスターとして活躍し、昨年7月に退団した大空祐飛(38)が、10月に上演される蜷川幸雄氏演出の舞台「唐版 滝の白糸」(東京・渋谷Bunkamuraシアターコクーン)で再出発することが決まった。所属事務所もエイベックスに決定。11年ぶりの“女役”に「自分にとって凄いチャレンジです」と燃えている。

 人気絶頂での退団から8カ月。“究極の男役”を探求してきた大空が、妖艶な女役で再び羽ばたくことになった。

 女性役を演じるのは、宝塚歌劇団月組時代の2002年、ミュージカル「長い春の果てに」で紫吹淳(44)扮する主人公の恋人役を演じて以来。昨年7月の退団時、紋付きはかま姿で別れのあいさつをするのが宝塚の恒例の中「男役として緞帳(どんちょう)を下ろしたかった」と黒の燕尾(えんび)服にしたほど、男役のリアリティーを最後まで追い求めた。それだけに、今回の役柄は「自分にとって凄いチャレンジ」と力が入っている。

 「唐版 滝の白糸」は75年に唐十郎氏の戯曲を蜷川氏が演出。劇場ではなく映画の撮影所で大掛かりな舞台装置を用いて上演され、反響を呼んだ伝説的作品だ。その後も再演され、今回で4度目の上演。大空が演じるのは、心中を図って生き残った水芸人・お甲。妖艶でありながら、性悪さと優しさを併せ持つ謎めいた女性をどう演じるのかが注目される。

 入団17年でトップスターに上りつめた“遅咲き”。当初はそれほど目立つ存在ではなかったが「カサブランカ」のハンフリー・ボガート役などで苦み走った男の魅力を開花させ、人気者になった。「作品がスターを育てる」という言葉をまさに体現してきた人だけに「再出発に素晴らしい作品と出合えた。このチャンスを与えてくれたことにとても感謝しています」と強調。この舞台に挑むことで「今後、私がどんなことを表現していけるのか、その可能性を探っていきたい」という。

 音楽・映像を中心にさまざまな事業に取り組んでいるエイベックスと契約したのも「宝塚という“夢の住人”だった私が、一人の人間としてどんな表現者になれるのか、その可能性を広げてくれる気がした」という。配役を決める際、DVDなどを見て大空のことを調べ「これならいける!」と思ったという蜷川氏は「退団後の第1作に大変な冒険だと思いますがよく選んでくれました。一緒にうまくいくといいなと思っています」と期待している。

 ◆大空 祐飛(おおぞら・ゆうひ)1974年(昭49)6月22日、東京都生まれ。92年、宝塚歌劇団に78期生として入団。月組、花組をへて、09年に宙組トップスター就任。昨年7月、東京宝塚劇場での宙組公演千秋楽をもって退団。劇場前ではファン8000人が花道をつくり、サヨナラパレードで別れを惜しんだ。「滝の白糸」は窪田正孝、平幹二朗が共演。身長1メートル70、血液型A。

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