海老蔵 父へ、勘三郎さんへ…手向けの笑わせ口上

[ 2013年3月4日 06:00 ]

 市川海老蔵(35)らが出演する「三月花形歌舞伎」が3日、東京都中央区のル テアトル銀座で初日の幕を開けた。海老蔵の公演は、2月3日に父の市川団十郎さん(享年66)が亡くなってから初めて。父子で共演予定だった作品「オセロー」から差し替え、父への思いを胸に舞台に立った。

 「成田屋!」「十一代目!!」の掛け声がかかる中、「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」の団七、お辰の二役と、「高坏(たかつき)」の次郎冠者を演じた。いずれも、昨年12月に亡くなった中村勘三郎さん(享年57)に教えを受けた役。演目を決めた時は団十郎さんも健在で、「勘三郎のお兄さんが亡くなられ、お兄さんに習ったものにしよう」と、相談して決めたという。

 当初は出演者数人が並ぶ予定だった口上では1人で登場。団十郎さんや勘三郎さんとのエピソードを、笑いを交えて披露した。

 勘三郎さんへの追悼の言葉を述べた後、「公私ともにお世話になり、ここでは到底、お話しすることはできない話ばかりでございます」と思わせぶりに語った。また08年4月の初演前、勘三郎さんが滞在していた米アリゾナ州に出向いて学んだ「夏祭…」を振り返り、「朝は稽古、昼はゴルフ、夜もお付き合い。いつもお兄さまといると一睡もできなかったことが何とも懐かしい」と「夜も」を強調して、観客の笑いを誘った。

 団十郎さんについては07年のパリ公演前、仏語での口上のために、自宅中に仏語のコピーがあふれていたといい、「ここだけの話、(父は)最後まで覚えられなかった」と暴露。最後は「偉大なる父、先輩に教えていただいたこと、その魂、思いを受け継ぎ、精進し、近づく努力をしてまいります」と表情を引き締めた。

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2013年3月4日のニュース