中島みゆき27年ぶり「世情」!2年ぶり全国ツアーで披露

[ 2012年10月26日 06:00 ]

2年ぶりの全国ツアー「縁会」が開幕し、大人のステージを魅せた中島みゆき

 シンガー・ソングライターの中島みゆき(60)の2年ぶりとなる全国ツアー「縁会」が25日、神戸市の神戸国際会館こくさいホールで開幕した。

 本番前、対し「大人の宴会をやりたかった。一気飲みじゃなく、静かに味わう大人の宴会をね」と思いを語った。ステージでは27年ぶりに名曲「世情」を披露。政治、経済、外交…すべてが混迷する中、強烈なメッセージを客席に放った。

 ライフワークの音楽劇「夜会」ならぬ「縁会」。うなり声のような低音で歌ったかと思うと、「皆さんどうもぉ~中島で~す」と愛きょうたっぷりの甲高い声で語る。背中が座席に押しつけられるほどのド迫力の歌声と、思わずイスから崩れそうになる脱力トーク。「この上から下へが私の特徴。ジェットコースターコンサートと呼んでください」と笑った。

 34年前の名曲「化粧」で♪今夜死んでもいいから きれいになりたい…と情感たっぷりに歌えば、新曲「恩知らず」は♪恩を仇(あだ)で返します 恩知らずになりました…と荒々しい。変幻自在。ファンの声を紹介する恒例の「おたよりコーナー」も全編にちりばめ、どこで“脱力トーク”が飛び出すか予測がつかない。青臭い歌の“一気飲み”ではなく、酸いも甘いもかみ分けた“大人の縁会”だ。

 デビューから37年を経た今も本番前は「楽屋でひとり歌詞とにらめっこ」という。「小心者なんです。ちゃんと歌えるんだろうか、歌詞をちゃんと覚えたんだろうかといまだに怖いんです」

 今では伝説の、02年NHK紅白歌合戦で歌詞を間違った「地上の星」を歌った際には「今でもあの12月31日がぶり返してきます」と話し、客席は大ウケ。

 圧巻は終盤。代表曲「時代」から「世情」へとつなぎ、迫り来る言葉の響きに歌詞の解釈を超えて圧倒される。「世情」は81年のTBS「3年B組金八先生」で生徒が警察に逮捕・連行されるシーンで使われて以降、テレビのバラエティー番組などで退場シーンの“定番曲”になっている。「私も、歌が始まった途端、客席後ろから機動隊が入ってくる演出にすればよかったかなあ。アッハッハ」と大笑い。還暦を超えても、現(うつつ)を遊び、世の中から何か落っこちていないか楽しそうに探している。

 ▽世情(せじょう) 78年に発表した第4弾アルバム「愛していると云ってくれ」のラストに収録。♪シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく…などと、世の理不尽にあらがうことの痛ましさなどを訴えた。「3年B組金八先生」の第2シリーズで、直江喜一扮する加藤優が逮捕・連行される場面で挿入歌として使われた。その際、セリフなしのスローモーションの映像に1曲丸々流れたため、強烈なインパクトで幅広い層に浸透した。

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2012年10月26日のニュース