中村芝翫さんの遺骨、新歌舞伎座の“舞台”に

[ 2011年10月28日 06:00 ]

中村芝翫さんの遺影を前にあいさつする(左から)松竹・大谷信義会長、雅子夫人、中村福助、中村橋之助

 今月10日に肝不全のため死去した歌舞伎俳優で人間国宝の中村芝翫(しかん)さん(享年83)の本葬が27日、東京都港区の青山葬儀所で営まれた。歌舞伎俳優の坂田藤十郎(79)、市川猿之助(71)、山田洋次監督(80)、俳優の北大路欣也(68)、海部俊樹元首相(80)ら約1200人が弔問。祭壇には天皇皇后両陛下からの供花、天皇陛下からの祭祀料(さいしりょう)、没後に贈られた旭日重光章などが飾られた。

 12日の密葬で荼毘(だび)に付された芝翫さんの遺骨は、この日午前11時前、東京・神谷町の自宅を出発し、銀座の新歌舞伎座の建設現場へ。歌舞伎一筋に生きた芝翫さんのため松竹が特別に計らい、現場入りを許可。長男の中村福助(50)、次男の中村橋之助(46)は遺骨を持って舞台が出来上がる予定の場所から客席方向に立ち、芝翫さんはしばし、新劇場の雰囲気を味わった。「完成を指折り数えていたので、どうしても見せてあげたかった」と福助。橋之助は「誰よりも早く舞台に立った。これで父も自慢話がひとつ増えました」と話した。

 また福助は、芝翫さんが文化功労者のメダルを保管していた箱の中から、妻の雅子さん(75)から金婚式に送られたラブレターが出てきたことも公表。あえて読まなかったというが「このラブレターこそ2人がはぐくんだ勲章だと思う」と笑顔で話した。

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