やなせたかしさん“希望の歌”を自費制作

[ 2011年6月18日 06:00 ]

 人気アニメ「それいけ!アンパンマン」の原作者やなせたかしさん(92)が、東日本大震災の津波に耐えた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」を題材にした「陸前高田の松の木」を作詞・作曲し、CDを自費制作した。

 震災後「アンパンマンは史上最弱のヒーローだが、いざという時には自分の顔を食べてもらい、そして戦う。それは私たちも同じ」とメッセージを発した、やなせさん。高田松原の松並木7万本の中で1本の松が残ったというニュースに感銘を受け「全ての日本人が力を合わせ復興する時」と曲作りを即決した。

 歌詞は一本松を「いのちをつなぐ 希望の木」と表現。♪ぼくらは生きる 生きていくんだ オー オー オー――と繰り返す。やはり自ら作詞・作曲したカップリングの「ガンバララバイ」では「涙は砂に しみていき いつかは消える ものだから」と前向きに生きる大切さを訴えている。

 曲中にアンパンマンは登場しないが、同作の絵本出版元「フレーベル館」の担当者は「根底に流れる優しさや生きることが大事なんだというベースは、アンパンマンのメッセージに共通する」と話した。

 震災直後には♪そうだ うれしいんだ 生きるよろこび――の歌詞で始まるアニメのテーマ「アンパンマンのマーチ」が被災地のFMラジオで繰り返し流れ、「子どもが初めて笑った」など大きな反響を呼んだ。それに続く“アンパンマンからのエール”が再び被災地を勇気づけそうだ。

 5月末に収録。「…松の木」は、やなせさんも歌に参加した。CDは、歌詞を印刷したハンカチとセットで、陸前高田市や松の保全に取り組むボランティア団体に寄贈。一般向けにも販売する予定で、売上金は全額寄付することにしている。

続きを表示

2011年6月18日のニュース