絲山さん原作の映画脚本出版拒否不当と1円請求

[ 2009年7月14日 19:58 ]

 映画「やわらかい生活」のシナリオの出版を拒否したのは不当として、脚本を手掛けた荒井晴彦さんと「シナリオ作家協会」(東京)が14日、原作者の芥川賞作家絲山秋子さんに出版妨害禁止と1円ずつの損害賠償を求め東京地裁に提訴した。

 訴状によると、荒井さんは絲山さんの小説「イッツ・オンリー・トーク」を脚本化。協会が年ごとの優秀な10作品による「年鑑代表シナリオ集」の2006年版や07年版への収録を求めたが、絲山さん側が「あのシナリオを活字として残したくない」などと拒否した。
 荒井さんと協会側は「脚本執筆や映画の製作、公開、DVD化などをすべて了解しながら、出版だけを拒むのは理解できない」と主張。慰謝料相当額は荒井さんと協会で計400万円としたが「金銭が問題ではないので一部のみ請求する」として1円ずつにとどめた。
 会見した荒井さんは「シナリオができた時から『直してくれ』という申し入れはあったが、できる限り聞いてきた」と訴え、協会側も「原作に基づいたとしても小説と映像表現は違う。今回のように脚本家が軽んじられるようなことがあってはならない」と指摘した。
 絲山さんは「訴状を確認していないので今の段階でコメントはできません」としている。

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2009年7月14日のニュース