三木さん通夜 3万本の花で故人しのぶ

[ 2009年5月20日 06:00 ]

花で飾られた三木たかしさん通夜の祭壇

 11日に下咽頭(いんとう)がんのため64歳で死去した作曲家の三木たかしさんの通夜が19日、東京・港区芝公園の増上寺で営まれた。歌手の北島三郎(72)や西城秀樹(54)ら約1200人が参列。妹で歌手の黛ジュン(60)は「3月はじめに余命を告知され、兄にしがみついて泣いた」と明かし、凄絶な闘病生活を告白。早すぎる死に、弔問客は悲しみに暮れた。

 真っ白な菊で流線を描いた祭壇は、高さ4・7メートル、幅17メートル。花は約3万本。「おしゃれでサラッとした性格だったので」と、恵理子夫人(33)の三木さんへの思いをデザインに込めた。
 花に囲まれるように置かれた机やギター、メガネ、卓上用の録音機材は、亡くなる直前に自宅で最後の曲作りをしていた時の様子を再現。その時に書いていた未完成の譜面も飾られ、がんと闘いながらも歌を作り続けた三木さんのたくましさと、新曲を書き終えることができなかった無念さがしのばれた。
 遺影は7年前の写真。亡くなる1週間前、おいの初節句を祝った時に夫人と撮った写真も飾られた。棺には愛犬との写真のほか、新品の靴や五線紙、黛が歌った「さくらの花よ 泣きなさい」のジャケット写真が納められた。
 葬儀委員長は作曲家の船村徹氏(76)が務め、テレサ・テンの「つぐない」などヒット曲をともに作った作詞家の荒木とよひさ氏(65)、歌手の森進一(61)や岩崎宏美(50)らが弔問。黛は焼香の際、悲しみに目を潤ませ、手を震わせた。
 終了後、報道陣に「入院時、やせ細った兄を見てしがみつくと“ジュン、泣くな。頑張るから泣くな”としかられました。入院後はほとんど出ない声で“ジュン、ありがとう、来てくれて。うれしいよ”と言ってくれた」と振り返った。「兄に褒められたくて一生懸命歌ってきた。これから先どうやって歌えばいいのか考えられません」と言い、ハンカチで何度も涙をぬぐった。
 葬儀はきょう20日午前10時から同寺で営まれる。戒名は耀功院奏心匡道居士(ようこういんそうしんきょうどうこじ)。

 ◇主な参列者 甘利明行政改革担当相、九重貢親方、北島三郎、島倉千代子、西城秀樹、坂本冬美、森進一、森昌子、八代亜紀、堀内孝雄、都倉俊一、吉岡治、アグネス・チャン、イルカ、津川雅彦、西川峰子、クミコ、コロッケ、平浩二、今陽子、小松みどり、野村沙知代、神野美伽、柏木由紀子、佐々木功、平尾昌晃(順不同、敬称略)

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2009年5月20日のニュース