仲代 8年ぶり主演映画は「東京物語」現代版

[ 2009年4月27日 06:00 ]

映画「春との旅」のワンシーン。(左から)仲代達矢、徳永えり

 俳優仲代達矢(76)が8年ぶりに映画主演する。2010年公開の「春との旅」で、小林政広監督(55)の脚本にほれ込んで出演を快諾。老人が孫娘と人生最後の旅に出るストーリーで、小津安二郎監督の傑作「東京物語」の現代版と位置づけられている。仲代は「世界的名作になるように頑張りたい」と、ヒロインの徳永えり(20)との撮影に臨んでいる。

 仲代の映画主演は02年の「白い犬とワルツを」以来。07年の第60回ロカルノ国際映画祭でグランプリを受賞するなど海外での評価が高い小林監督の脚本を読み、「160本ほどの映画に出演した中で、5本の指に入る脚本」と出演を快諾した。
 北海道に2人きりで暮らす元漁師、忠男(仲代)と孫の春(徳永)が旅をする物語。上京して働きたいという春の願いを聞き、自身の引受先を求めて疎遠になっていた東北地方に住む兄弟たちを訪ね歩き、忠男を快く思わない兄弟たちとの確執が再燃する。兄夫婦を大滝秀治(83)と菅井きん(83)、弟を柄本明(60)が演じるなど、脇を固める俳優陣も名優ぞろいだ。
 核家族化、高齢化社会の問題を取り上げ、人生の晩年、接点があった人に会いに行く同作は、老夫婦が独立した子供たちを訪ねる小津監督の「東京物語」とリンクする。小林監督は「現代版の“東京物語”や黒澤明監督の“生きる”がやりたかった」と意欲を語った。今月5日から、北海道、宮城県などで撮影中。忠男と春の微妙な関係を映し出すため、「一緒にご飯を食べてはいけない」など小林流で役作りも指導している。すでに海外から配給のオファーもあるといい、10年のカンヌ国際映画祭など海外映画祭でお披露目するプランもある。
 仲代は「俳優生活のラストランでこのような脚本に出合えたことは幸せ。脚本の素晴らしさを壊さないようにしたい」。映画「フラガール」での演技力を買われ抜てきされた徳永は「大先輩と共演させていただけるチャンスをいただいて光栄。日々精進したい」と意気込んでいる。

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2009年4月27日のニュース