「全ての出来事には意味があるんだ」WBCへの出場がかなわなかったヌートバー これからが楽しみ

[ 2026年3月14日 07:30 ]

カージナルスのラーズ・ヌートバー
Photo By スポニチ

 WBCが始まる直前の3月2、3日にフロリダ州ジュピターにあるカージナルスの球団施設を訪れ、ラーズ・ヌートバー外野手(28)の単独インタビューを2日続けて取材した。

 もともと底抜けに明るい性格の選手だが、行く前はもしかしたら少し落ち込んでいるのではないかと想像していた。昨季は打率・234、13本塁打、OPS・686(キャリア平均は・747)と不本意な成績に終わり、オフに両かかとを手術。おかげでWBCへの2大会出場は諦めざるを得ず、そのリハビリ途上ゆえに今季開幕を負傷者リストで迎える可能性も指摘されていた。

 しかし――。実際に顔を合わせ、すぐに安堵(あんど)した。表情は前年と比べても明るく、何かから解放された雰囲気さえあったからだ。

 「(かかとのケガは)2~2年半くらいずっと抱えてきた。特にこの1年がこれまでで一番ひどかった。最初に診てもらいに行った時は、手術を受けることになるとは思っていなかった。でも執刀医から問題があって修復が必要だと言われたんだ。予想していたニュースでも、望んでいたニュースでもなかったが、最終的には何か手を打たなければならなかった」

 もちろんここでの戦線離脱に悔しさがなかったわけではない。特に誰よりも楽しみにしていたWBCへの出場がかなわなかった無念は察して余りあり、ヌートバー自身も「回復期間を告げられた時、最初に頭に浮かんだのはWBCだった。手術を受けると決める上で一番つらかったのは、出場の機会を手放さなければならないと分かっていたことだ」と述べていた。ただ、日本のお茶の間の人気者になった通称「たっちゃん」は残念な思いを認めた上で、ある言葉を繰り返していた。

 「全ての出来事には意味があるんだ(everything happens for a reason)」

 “良いことも悪いことも、全ては必然的な理由があり、未来の成長や学びのために起きている”。前向きな人生哲学を指し、米国ではよく使われるフレーズだ。

 昨季に限らず、この2年のヌートバーのプレーはそのポテンシャルを考えれば物足りないものだった。自身でもコンディションに不安を抱えながらのプレー続行に限界を感じていたのかもしれない。年齢的にもこれから全盛期を迎えることを考えれば、WBCを諦めてでもここで健康を取り戻すことはヌートバーには絶対に必要なことだった。手術を受けなければならない明確な理由が見えたからこそ、今ではすっきりとした表情でいられるのだろう。

 「100%の状態でプレーできるのはいいことだ。本当にいいことだ。これまでずっと何かしら気になるものを抱えながらプレーしてきたから、痛みなくプレーできる状態でフィールドに立てるのが本当に楽しみだ」

 たとえ開幕に間に合わなくても、ヌートバーは今季中のどこかで久々に万全に近いコンディションでプレーできるに違いない。その時、どんなパフォーマンスを見せてくれるかが楽しみだ。まだ28歳。侍ジャパンに関しては焦ることはない。ここからまた優れたプレーでファンを魅了し続ければ、確かな才能と魅力を持ったヌートバーなら近い将来にまた侍ジャパンのユニホームを着ることは十分に可能なはずなのだから。(記者コラム・杉浦大介通信員)

「WBC 2026速報|侍ジャパン最新情報・大谷翔平ら注目選手・日本戦ほか日程&放送情報【第6回ワールド・ベースボール・クラシック」特集記事

「大谷翔平」特集記事

野球の2026年3月14日のニュース