【阪神90周年を飾る優勝】川藤幸三氏「藤川監督が求め続けた凡事徹底の積み重ね」

[ 2025年9月8日 03:15 ]

セ・リーグ   阪神2―0広島 ( 2025年9月7日    甲子園 )

5月18日、試合前に川藤幸三氏(右)と談笑する阪神の藤川監督 
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 2年ぶりの優勝を受け、前OB会長の川藤幸三氏(76)が本紙にコメントを寄せた。藤川球児監督(45)最大の理解者といわれる同氏は球団創設100周年に向けての足場を築いたと祝福した。

 胴上げされる藤川監督を見ながら、思い出した四文字熟語があった。「凡事徹底」。そうや。今回の優勝は凡事徹底で頂点に立つことができたんや。藤川監督とチームが、それを貫いたからこそのV奪回やった。

 今年2月の春季キャンプのテーマを、藤川監督が凡事徹底と決めたとき、周囲の反応は鈍かった。“当たり前のことやんか”と思われたんやろな。報告・連絡・相談、それはどのチームでも重視している。だが、藤川監督の凡事徹底は、プロのチームが勝つためのレベルで、それを求めている。“このくらいでいい”という妥協はありえない。コーチ、選手、各部門のスタッフ、全員にシーズンを通して求め続けた結果の優勝や。

 いい例がトレーナー部門やろう。今年は他球団の主力に故障者が多かった。巨人・岡本、ヤクルト・村上。DeNAの牧も復帰のメドが立っていないと聞く。一方で阪神には故障者が少なかった。これも凡事徹底の積み重ねや。そのためにトレーナー陣は寝食も忘れて選手のコンディショニングに打ち込んだはず。勝負は時の運。凡事徹底してもうまくいかないことはあるが、順風満帆のペナントレースは凡事徹底の積み重ねに他ならないと思う。

 「腹くくってやれよ」。昨年、監督就任の報告を受けたときに、それだけを伝えた。腹をくくって組織をつくり、チームを強化した。印象的な試合は7月3日の甲子園での巨人戦や。6番スタメンで起用した豊田が最後にマルティネスからサヨナラ犠飛を打った瞬間、鳥肌が立った。藤川監督は並大抵ではないと感じた。それまでの豊田は3打席凡退、連続併殺打と見逃し三振。全くいいところがなかった。9回のチャンス、どの監督でも絶対に代打の場面や。しかしそのまま使って、結果を出した。「ダメなら自分が責任を取る」の信念があったからこそや。

 監督、コーチの経験がないのに、就任1年目からヘッドコーチを置かなかったのも「自分の責任でやる」ということを明確にするためやった。その過程で1軍、2軍、スタッフに求めるものは徹底して求めた。それが球児流だ。シーズン中は何度か食事をした。交流戦で7連敗したときには少し弱気にもなっていた。「自分で抱え込むだけでは(体が)持たんぞ」とだけ伝えた。長いシーズン、うまくいかなかったことが裏では山ほどあったはずだが、信念を貫き、順風という形でゴールを迎えたことは素晴らしい。

 藤川監督の頭は次に向かっている。日本一になる責任は十分感じて、そのための手だてを組み立てているはず。そして阪神の球団創設100年に向けて何が残せるか。今回の優勝は岡田前監督、そして矢野、金本元監督からの流れの上にあることも藤川監督は理解している。次代のために、新しい選手を育てて残すことが課せられた仕事だという思いは強い。

 秋に誰をどう鍛え、勝てる組織をどうつくるか。出番が少なかった前川あたりが「見とけよ」とレベルアップする姿も藤川監督は期待している。いろいろな形で、次に向けた布石はすでに打っているはず。その流れもしっかりワシも見ていくつもりや。 (阪神タイガース前OB会長)=構成・鈴木 光=

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