【内田雅也の追球】「自助」のけん制、スクイズ

[ 2025年6月30日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神6―0ヤクルト ( 2025年6月29日    神宮 )

<ヤ・神>初回、一走・オスナは伊藤将のけん制に帰塁できずタッチアウトとなる(一塁手・大山)(撮影・北條 貴史)
Photo By スポニチ

 2安打完封の阪神・伊藤将司は投球を攻守で自ら助けるプレーが光った。けん制刺とスクイズである。

 振り返れば唯一のピンチだった1回裏2死一、二塁。打者・増田珠のカウント2ボール―2ストライクで、ベースと離れ後方で構えていた一塁手・大山悠輔が一塁に入り、素早いけん制で走者ホセ・オスナを刺した。

 いったんはセーフと判定されたが、リクエストでリプレー検証の末、アウトに覆る間一髪のプレーだった。

 こうした走者一、二塁や満塁などで後ろ側の一塁走者に放るのを「後方けん制」と呼ぶ。2021年2月の沖縄・宜野座キャンプで臨時コーチを務めた元巨人・中日の川相昌弘が伝授していた。

 川相は<巨人の得意技>だと著書『ベースボール・インテリジェンス』(カンゼン)に記していた。コツは投手は<一塁走者を一切見ずにサインを頼りにけん制を放る>で<あるところ>から発信されたサインと合図があった。

 4年前、宜野座での練習を見ていると<あるところ>の合図がわかった気がした。機密事項で確認は取れていない。ただ、これは右投手の場合で、左投手の場合は異なるかもしれない。伊藤将―大山2人の見事な連係だったとみている。交流戦明けには甲子園で報道陣をシャットアウトしての秘密練習を行っていたが、サインプレーの連係確認だったのだろう。

 元よりけん制のうまい伊藤将だが、この日はそれまで1球も放っておらず、警戒するそぶりも気配もなかった。つまり一撃必殺だったわけだ。

 もう一つ自らを救ったスクイズは5回表1死二、三塁の打席だった。坂本誠志郎の二塁打で2点目が入った後だった。2ボール―1ストライクから投前に転がした。セーフティースクイズではなく、三塁走者がスタートを切る普通の「スーサイド・スクイズ」で、相手投手の本塁悪送球もあり3、4点目が入った。自身の投球を楽にさせる追加点だった。

 5月24日の中日戦(バンテリン)以来1カ月ぶりに三塁に戻った佐藤輝明は最後の難ゴロを好プレーでさばいて、快勝の幕を下ろした。

 きょう30日で1年の前半が終わる。「六月三十日(みそか)は年のへそ」。半年の穢(けが)れを落とす日とされる。気分良く7月を迎えられそうである。 =敬称略=
 (編集委員)

続きを表示

「阪神」特集記事

「大谷翔平」特集記事

野球の2025年6月30日のニュース