大谷から提案 異例の「後払い契約」 ぜいたく税“節税”で生まれた余剰資金でさらに補強可能に

[ 2023年12月11日 02:30 ]

大谷翔平
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 スポーツ史上最高額の10年総額7億ドル(約1015億円)でドジャースと合意した大谷だが、年俸の支払いに「後払い方式」が採用されたのが特徴だ。大谷自らの提案で、球団は年俸総額の一部の支払いを退団後に回すことで、毎年のぜいたく税(球団総年俸が規定額を超えた場合に科される課金制度)の負担を減らせる。大リーグ公式サイトは「彼は自分の年俸が足かせにならないように後払いにすることで、チームの補強に生かせるようにしたかった」と指摘。チームの勝利を最優先する大谷らしい選択だった。

 大型契約では一般的で、21年にド軍と12年総額3億6500万ドル(約530億円)で契約したベッツも、44年まで24年間給料が支払われる。大谷の契約内容の詳細は明らかになっていないが、スポーツ専門局ESPNのジェフ・パッサン記者は「年俸総額の大半を後払いにしている」と伝えた。

 ぜいたく税の対象となる額は、後払いの割合や期間などによって決まるが、毎年1000万~2000万ドル(約29億円)を浮かせることが可能といい、その「余剰資金」を他の補強費に回せる。これだけ大規模な後払い金は前例がないという。

 球団にとっては、大谷加入による莫大(ばくだい)なスポンサー収入も見込める。エンゼルスには年間2500万ドル(約36億2500万円)をもたらしたといわれるが、市場規模が大きいド軍ではその倍になるとの見方もある。史上最高の7億ドル契約も決して高い買い物ではない。新天地で世界一を目指す大谷と、長年の“恋人”を獲得したド軍。双方にメリットがあるウィンウィンな歴史的契約となった。

 ≪契約満了後の2034年から78歳まで毎年14.5億円?≫米データサイト「ファングラフス」は大谷の後払い方式を早速、シミュレートした。仮に7億ドルのうち、半分以上の4億ドルを後払いとし、その期間を40年とする。ド軍在籍時に手にする年俸は年3000万ドル(約43億5000万円)で、契約満了後の2034年から大谷が78歳となる73年まで毎年1000万ドル(約14億5000万円)が支払われる計算が成り立つ。

 ▽後払い契約(Deferred contract) 大リーグでは1980年ごろから採用されている方式で、選手が引退後も年俸を受け取るケースは珍しくない。最も有名なのは、メッツの強打者ボビー・ボニーヤに対する支払い。99年オフに契約を1年残して放出されたが、その際に当時のオーナーが年率8%の金利を乗せて後払いにすることで合意。同選手は01年に引退したが、72歳になる2035年まで毎年119万ドル(約1億7300万円)が振り込まれる。ド軍ベッツは32年に契約満了となるが、33~44年の12年間で後払い分の1億1500万ドル(約167億円)が支払われる。

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