阪神6連勝 4度目の先発でプロ初勝利の2年目左腕・桐敷を支えた父の教え 「結果が出ても謙虚にいけ」

[ 2023年5月27日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神2―1巨人 ( 2023年5月26日    甲子園 )

ウイニングボールをかかげる桐敷(撮影・岸 良祐)
Photo By スポニチ

 阪神は26日、巨人戦に2―1で逆転勝ちし、今季2度目の6連勝。貯金を今季最多の15に伸ばし、2位・DeNAとのゲーム差を今季最大の「5」に広げた。今季初登板初先発の桐敷拓馬投手(23)は自己最多の10三振を奪うなど自己最長の7回5安打1失点の好投。通算4度目の先発だった2年目左腕が、待望のプロ初勝利を挙げた。

 桐敷の力投が報われた。通算8試合目、4度目の先発でつかみ取った初白星。今季最多4万2615人が詰めかけた聖地の大声援を全身で浴びながら、勝利の余韻に浸った。

 「桐敷です。よろしくお願いします!(景色は)とても最高です!」

 お立ち台での初々しい自己紹介とは裏腹に、マウンドでは果敢に攻め続けた。「初回から全力で飛ばすことは試合前から意識していた」と、初回からこの日最速の149キロを連発。直球の力強さに加えて、フォークやスライダーなどの変化球もキレがあった。6回2死一、二塁のピンチでは大城卓を投ゴロに仕留め、雄叫びを上げながらガッツポーズ。7回まで毎回の10奪三振も「意識はしていなかった。2桁も取っていたんだなって感じ」と、自然体で成し遂げたものだった。

 「伝統の一戦でもありますし、特別なユニホームでもありますし。それが初勝利で、忘れられない一日になりました。本当にいろんな方のおかげだと思いますし、そういう人たちに一人一人連絡できたら」

 父・徹さんから耳にたこができるほど教えられた“謙虚な心”を胸に刻み、これまでの人生を歩んできた。「小、中、高とずっと父には“一つの結果が出ても謙虚にいけ”って言われてきて。いいことがあったとしても、1週間してすぐに悪いことや怒られることをしていた。野球でも毎回いつも“この前いいピッチングをしたからって、なんなんだお前”ってずっと言われていた」。

 今春は1軍キャンプスタートも打ち込まれ、2軍生活が続いた。それでも「大竹さんは自分ができていない部分ができているので参考になりますし、勉強になる」と先輩左腕の投球術を映像で見て学ぶなど、腐らずに取り組み続けた。辛抱強く取り組む大切さを教えてくれた両親に、感謝のウイニングボールを手渡す予定だ。

 「去年勝っていなくて、開幕して調子もよくなかったので不安でしたけど。遅かったなあ…とは思いますけど、初勝利できたのでうれしいですね」

 村上に続き、鳴尾浜でくすぶっていた若手の躍動。早くも独走態勢に入った岡田阪神に、また一人頼れる左腕が台頭した。(阪井 日向)

 ○…阪神は2位DeNAに今季最大の5ゲーム差。2位チームに5ゲーム差をつけたのは21年以来2年ぶり。前回のシーズン初は6月9日の56試合目(2位巨人)だったが、今回は44試合目で12試合早い。なお岡田阪神では05年7月3日の77試合目(2位ヤクルト、5・5差)、08年5月29日の50試合目(2位中日、5・5差)に続く3度目で最速。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年5月27日のニュース