ロボット・アンパイアのテスト進む テクノロジーお任せか、人間主体か…2つの選択肢

[ 2023年5月27日 13:49 ]

 スポーツ専門局「ESPN」のジェフ・パッサン記者が、今季3AでテストされているABS(automated ball-strike system)、いわゆるロボットアンパイアの現状について報告している。

 MLBは2つの方法を試している。一つはテクノロジーに完全にお任せ。火曜日から木曜日の試合で、12個の高速度カメラを基にコンピューターが即時に判定、0・5秒で人間の球審の耳に届き、球審がコールする。誤差は10分の1インチ(2・54ミリ)未満と正確だ。

 もう一つは人間が主体で、テクノロジーが補助するもの。金曜日から日曜日で、人間の球審が判定するが、選手はそれに対し1試合3度までチャレンジできる。チャレンジとなると、コンピューターがボールの軌道をスコアボードに図解の動画で映しだし、選手や監督だけでなくスタンドのファンも見ることができる。

 最初は捕手目線で、ボールがプレートに近づくと180度回転し、投手目線になり、そこから判定。判定が覆れば、チャレンジの権利を取り戻せる。

 興味深いのはチャレンジシステムだ。3回しかできないから、チームは試合終盤の大事な場面までチャレンジの権利を残しておきたい。1イニング目にチャレンジになったのは全投球の1・8%、回を追うごとに確率は上昇、9イニング目は4・9%になっている。序盤は確実に誤審だという時以外は使わない。カウントによっても異なり、一番チャレンジが多いのは3-2のカウントで9・6%、2-2は6・3%になっている。

 今季ここまで判定が覆った確率は44%だそうだ。現場のある捕手はチャレンジシステムを支持している。テクノロジーに完全にお任せにしてしまうと、捕手の大切な技術であるフレーミングの意味が完全になくなってしまう。人間の目を欺く捕手の職人芸はこれからも野球の財産として残しておくべきという主張だ。

 どちらのシステムも技術的にはほぼ問題はなく、メジャーでも使用できる。とはいえパッサン記者は、どちらが選ばれるにせよ、来季(24年)導入になる可能性は少ないとしている。150年の野球の歴史の中で、大きな変化となったピッチクロックを導入したばかり。ロボットアンパイアもとても大きな変化で、明らかなメリットがないと、オーナーや審判など、野球関係者を納得させることはできないだろうとしている。

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