客の入らないアスレチックス球場で6月13日「逆ボイコット運動」、ファンとオーナーが反目

[ 2023年4月20日 09:17 ]

ブルペンで投球練習を行うアスレチックス・藤浪
Photo By スポニチ

 藤浪晋太郎投手の所属するアスレチックスの本拠地オークランド・コロシアムは客が入らず、今季も平均観客数は1万人を割っている。ジョン・フィッシャーオーナーはラスベガス移転の話を進めているが、これに異を唱えるオークランドの地元ファンのグループが、2カ月後の6月13日に「逆ボイコット運動(購入奨励運動)」を計画。ニューヨークタイムス紙がその経緯を報じている。

 19日(日本時間20日)のカブス戦に2-12の大敗。今季の成績は3勝16敗。特に投手陣の防御率は7・71と“投壊”中だ。それでも地元ファングルーブは声明文で「オークランドにはファンが残っていないから、アスレチックスは街を離れてラスベガスに移るという話になっているが、事実ではない。アスレチックスはメジャーで最も給料総額が低いのに、負け越しシーズンの後にチケット代を値上げした。今のオーナーはラスベガス移転に焦点を絞り、今のファンを見捨てようとしている」と主張。お客が入らないのはファンのせいではなくオーナーの責任だとする。そのため、6月13日(火)のレイズ戦という「客が最も入りそうにない」とみられている試合をあえて選んで、熱心なファンで抗議しようというのだ。「球場に来て良い時間を過ごして欲しい。アスレチックスのオーナーについての意見を言って欲しい」としている。「マネーボール」で有名なアスレチックスは、コストを抑えながら、強いチームを作り、過去21年間で11回プレーオフに勝ち進んだ。しかしながら近年はシステマチックに、良い選手を放出し、代わりの選手を育てていないように見えるとの指摘もある。老朽化した球場で、なのにチケットを値上げしているとして、昨季ファンは反乱を起こし、観客数3000人を切る試合がいくつかあった。

 それに対し、球団は昨オフ、最後に残っていた好選手、ショーン・マーフィー捕手をトレードした。今季のサラリー総額5820万ドルは30球団で最低。年俸百万ドルを超えるのは11人、24年も契約がある選手は2人。現在ベンチに入っている26人の選手のサラリー総額は4580万ドルで、メッツのマックス・シャーザーの1人分よりほんの少し多いだけだ。グループはオーナーが良いチームさえ作ればファンは球場に集まってくると主張する。実際、19年のプレーオフには5万4000人も入った。しかしフィッシャーオーナーは、ファンが見たいチームをあえて作ろうとしない。防御率7・71は、MLB史上最低の1930年のフィリーズの6・71よりも下回る。このチームは52勝102敗2分の成績だった。1899年のクリーブランド・スパイダーズは20勝134敗だったが、それでも防御率は6・37で、今のアスレチックスよりも上回っていた。ナ・リーグは1900年のシーズン前に、スパイダーズを削減した。経済誌フォーブスによると、このような状況のアスレチックスでも11億ドル(約1347億円)の資産価値がある。そのため、削減対象にはならず、将来的にはオークランドに新球場ができるか、ラスベガスに移転することになりそう。いずれにせよ、6月13日の「逆ボイコット運動」がどうなるか気になるところだ。

続きを表示

野球の2023年4月20日のニュース