オリ20歳・舜平大 由伸カーブ、野茂フォーク、大谷投法で歩む怪物の道 5回10K零封プロ1勝

[ 2023年4月12日 05:00 ]

パ・リーグ   オリックス6―0楽天 ( 2023年4月11日    楽天モバイル )

<楽・オ>プロ初勝利を挙げた山下は笑顔で1ポーズ(撮影・篠原岳夫)
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 オリックスの高卒3年目右腕、山下舜平大投手(20)が11日の楽天戦でプロ初勝利を挙げた。最速157キロの速球とカーブ、フォークの3球種だけで毎回10三振を奪って5回無失点。開幕投手としてデビューした3月31日の西武戦から中10日で挑んだ2度目の登板で初の2桁奪三振の快投を演じ、勝率5割復帰にも貢献した。

 山下はウイニングボールを感慨深げに見つめた。「本当にうれしい。もちろん、母にプレゼントしたい」。最愛の母・美智代さん(53)は保険会社の営業職として働きながら全力で支えてくれた。「母がバッグとか自分の物を買う姿を見たことはなかった」。高校時代は1日8合の白米を食べて肉体改造し、球速アップ。「食費も大変だったと思う。自分でお金を稼ぐようになって、改めて“育ててくれた”という大変さを感じます」。球場に来られなかった分、最高の白星を贈った。

 魅力いっぱいの93球だ。最速157キロの直球とブレーキの鋭いカーブ、そして登録を外れた10日間で修正を加えたフォークで毎回10三振を奪った。特に勝利投手の権利がかかった5回は3つのアウトを全て三振で取った。

 2度の登板を終えて平均球速154・1キロは、ロッテ・佐々木朗の158・8キロに次ぐ先発投手2位で、先輩・山本の153・7キロを上回る。山本も武器とするカーブで投球にアクセントを付け、テイクバックの小さな「ショートアーム」投法はエンゼルス・大谷似と評判。フォークは今春に野茂英雄氏から伝授され、怪物級エースたちのエッセンスが大器に詰まっている。

 20年ドラフト1位。昨季は腰の成長痛に苦しみ4カ月も投げられず、11月には両足首を手術した。モチベーションは強力投手陣の中でしのぎを削る先輩たちの姿だった。

 「追いつけ、追い越せと。皆さんの中に自分も入らせてもらっている。このチームにいれば、ゆっくりしているヒマはない。本当にいい環境でやらせてもらっている」

 初勝利を挙げても、その姿勢は変わらない。「先を見すぎず、次の試合。また明日から練習したい。まだまだできると思うし、そういうつもりで練習している。どんどん超えていければ」。無限の可能性を秘めた次世代エース候補が一歩ずつ確実に階段を上がり始めた。(中澤 智晴)

 【山下 舜平大(やました・しゅんぺいた)】

 ☆生まれ&サイズ☆ 2002年(平14)7月16日生まれ。福岡市出身の20歳。1メートル90、98キロ。右投げ右打ち。血液型B。足のサイズは29センチ。

 ☆球歴☆ 野多目小3年時に筑紫丘ファイターズで野球を始める。三宅中では軟式野球部に所属して投手兼捕手。福岡大大濠では1年秋からベンチ入りし、3年夏は福岡県代替大会の地区準優勝。20年ドラフト1位でオリックス入団。2軍通算26試合4勝11敗、防御率4.72。昨秋はCSファイナルS第4戦と日本シリーズ第4、5戦でベンチ入りして登板なし。

 ☆名前の由来☆ 20世紀前半に活躍したオーストリア・ハンガリー帝国(後のチェコ)モラヴィア生まれの経済学者、ヨーゼフ・シュンぺーターが由来。母・美智代さんが「覚えやすく、海外でも通用しやすく、呼んでもらいやすいように。字数と響きで」と名付けた。愛称は「ペーター」。

 ☆インドア派☆ オフは寮の自室で一人で過ごすのが好き。「ゲームをしたり、昼寝したりしています。インドア派です」。

 ○…高卒3年目の山下(オ)が5回10奪三振の無失点でプロ初勝利。オリックスの投手がプロ初勝利を2桁奪三振で飾るのは、89年4月13日ロッテ戦で新人の酒井勉(日立製作所出身)が初登板初完投初勝利で11三振を奪って以来。高卒では阪急時代の86年9月6日南海戦で高卒2年目の白井孝幸(豊川高出身)が12奪三振完投で挙げて以来37年ぶり。

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