北陸高 部員43人中36人が福井出身 チームの結束高まり、林監督母校の敦賀気比の壁打ち破った

[ 2023年1月27日 06:00 ]

選手とコミュニケーションを取る北陸・林孝臣監督(撮影・河合 洋介)
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 【選抜候補校紹介 舞い上がる春(下)】昨秋の明治神宮大会で4強に入り、34年ぶりの選抜出場を確実にした北陸(福井)の躍進は福井の横綱・敦賀気比への挑戦とともにある。なにせ林孝臣監督には母校の敦賀気比でコーチ経験がある。その林監督、母校の指導が10年目を迎えて他業種への転職を考えていた矢先、北陸のOB会長から監督就任を打診されたという。「甲子園の常連校に甘えていては自分の成長はない」と19年秋に北陸の監督に就任した。

 北陸は16年夏を最後に聖地から遠ざかっていた。「敦賀気比のような絶対に勝たないといけないという貪欲さがないように見えた」。母校と同等の厳しい練習を課して、勝利への執念を植え付けた。
 全国的な知名度のない北陸は、他県の有力選手を勧誘するのが難しい。そこは発想を転換させた。口説き文句は「福井県民中心のチームで甲子園に行こう」。県内の中学生でNo・1投手と評価した友広陸(2年)には「日本一の投手に成長させる。日本一を獲ろう」と誘った。そのエース兼4番を筆頭に部員43人中36人が福井出身。指揮官にとって苦肉の策だった地元中心の選手編成は、結果的にチームの結束を高めた。

 それでも敦賀気比の壁は高かった。昨夏の県大会決勝では4―8で敗れた。心が折れそうな時には、敦賀気比で同学年だった内海哲也(現西武2軍投手コーチ)の努力を思う。「しんどい時は“あいつも頑張っている”と奮い立たせてきた。内海がいなければ、ここまでやっていない」。そして、再戦となった昨秋の北信越大会決勝。同点の延長13回に勝ち越す劇的な勝利で雪辱を果たし、ナインに胴上げされた。

 林監督は、当時、母校のコーチ就任直後だった敦賀気比・東哲平監督から声をかけられ指導者になった。その東監督は「熱い人間ということもあって誘った」と回想する。熱は冷めないまま、監督として聖地に戻る。(河合 洋介)=終わり=

 ▽北陸高校 福井県福井市にある私立校。創立は1880年(明13)で、浄土真宗本願寺派僧侶養成機関の羽水教校が前身。「こころ」と「いのち」の教育を建学の理念としている。野球部は1907年(明40)創部で100年を超える歴史を持つ。同部OBに鍬原拓也(巨人)。

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