個人情報を守るため!?プロ野球の年俸は公開するべき、しないべきか

[ 2022年12月2日 08:00 ]

ZOZOマリンスタジアム
Photo By 提供写真

 12月に入り、契約更改の季節となっている。ロッテでは複数の選手が来季年俸の非公開を訴えた。

 個人情報が守られる時代となり、その気持ちも理解できる。非公表にしたいことが、選手会で話し合われる予定があるとも聞いた。その方向性が出るまで、非公開のスタンスでいたいということもあるだろう。

 新聞、テレビでは、いわゆる推定という形で金額で報道している。ドンピシャリで当たっている選手もいれば、多少ずれている選手もいる。

 とはいえ、自分の給料を世間にさらされることは、なかなか特殊な慣例だ。そういう意見が出てくるのも当然かなと思う。話し合うということは、そんな要望が選手たちから出ていることなのだろう。

 ただ、個人的な意見としては、プロ野球は夢を与える世界として、プレーの裏側ともいえるお金でも、夢を見させて欲しいなと思う。

 それほど、野球界の未来は明るくないと思っているからだ。例えば、ZOZOマリンのスタンドを見れば、昔よりもスタンドは埋まっていると思う。特に女性ファンは増えた。野球界の取り組み、企業努力、いずれも素晴らしい。

 ただ、野球ファンの幅が広がった一方で、野球をやっている子どもたちは増えていない。キャッチボールをする場所がない。空き地はないし、公園だってボール遊び禁止のところが多い。都会だけの話ではない。

 子どもとキャッチボールをするのに、車を30分以上も運転して、駐車場代を払ってようやくボールを投げることができる。記者の少年時代では考えられなかったが、少なくとも、自分は息子とキャッチボールをするためにそうしていた。

 小学校で野球を始め、大学生になっても野球を続けた。社会人となってからは、プロ野球を中心に、野球の取材を続けている。

 ただ、休日に高校野球の地方予選を見に行けば、部員の少なさが目立つ。大会パンフレットを購入してメンバー表を見れば、ベンチ入りを余している学校も多い。高校野球の指導者となった先輩、後輩たちの話を聞けば、部員集めも深刻だ。

 30年前は1億円プレヤーといったら超一流だった。そんな1億円に憧れて、プロ野球選手になった若者たちも多いはずだ。

 2014年オフ、当時日本ハムだった巨人・中田翔はプロ7年目で年俸2億円でサインした。会見では「入団した頃は、もう年俸5億円ぐらいは稼いでいると思っていたよ」とジョークを飛ばしていた。やっぱり、お金には夢が詰まっていると思った。

 他競技では給料を公開していないという意見も聞くが、プロ野球は活躍次第で、国内では他よりも大きな金額を手にできる。それをアピールしない手はない。プロ野球って活躍すると、こんなに稼げるんだよ、と――。

 選手たちにとっては迷惑な話かもしれない。でも、野球界の未来を考えたら、非公開にするのは、長い目で見るとマイナスになるのではと、自分は少しだけ危惧している。

 皆さんは、どう考えますか?(記者コラム・横市 勇)

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2022年12月2日のニュース