「青春って、すごく密なので」流行語・選考委員特別賞 仙台育英・須江監督「学生に少しでも青春を」

[ 2022年12月2日 04:44 ]

仙台育英・須江航監督の「青春って、すごく密なので」が選考委員特別賞を受賞
Photo By スポニチ

 ユーキャン新語・流行語大賞が1日発表され、今夏の全国高校野球選手権で春夏通じて東北勢で初めて優勝した仙台育英(宮城)の須江航監督の「青春って、すごく密なので」が選考委員特別賞を受賞した。コロナ下の若者に寄り添い、日本中に感動を呼んだ名言。須江監督は「学生たちに少しでも青春を提供してあげたいと思う人が増えてくれたら、この賞を頂いた価値がある」とかみしめた。

 高校野球に関連した言葉が受賞したのは06年、早実の投手として甲子園を沸かせた斎藤佑樹の「ハンカチ王子」以来で16年ぶり。須江監督は本紙の取材に「流行したといえるような言葉ではないのに、一年を表す言葉の一つに選んでいただけてありがたいです」と思いを語った。

 流行語大賞は五輪のメダリストといったトップアスリートや、政治家、タレントなどの発言が受賞することが多いが、今回のように高校野球の指導者の言葉がここまで注目され、選ばれることは極めて異例だ。

 須江監督はこれまでも「人生は敗者復活戦」など、数々の言葉で人の心を揺さぶってきた。その中でも「青春って密」は、発言の直後からインターネット上などで話題を呼んだ。監督の元には全国から多くのメッセージが届いたという。教員から「普通の世の中に近いことをさせてあげたいという気持ちを代弁してくれてありがとう」、学生や保護者からは「頑張っているんだと言ってくれて心が本当に救われました」と感謝の言葉であふれた。活動が制限された子供や若者の心に寄り添い、さらに、濃密な青春時代を思い起こさせるとして幅広い世代の共感を呼んだ。

 選考委員も心を打たれた一言だった。歌人の俵万智氏(59)は「今年一番心震える一言でした」と絶賛。東大名誉教授の姜尚中氏(72)は「逆境にもめげない、したたかな大衆の生命力が息づいている」とコロナ下に屈しない姿を反映した言葉と評価した。

 監督個人の発言だが、受賞者は「仙台育英学園高等学校」となっている。これは学生野球憲章の「野球で得た名声を他のものに利用したり、利用させてはならない」という精神に抵触する可能性があるためだとみられる。同校は「これまでもこれからも彼らの応援団でいたい」とコメント。苦難をくぐり抜け、多くの人の思いが実を結んだ受賞だった。

 須江監督は「少しでもコロナ前の形で大会ができること、子供たちが夢の舞台を踏めることを祈っています」。本来の子供たちの日常が訪れることを真っすぐに願っている。

続きを表示

2022年12月2日のニュース