槙原寛己氏 投手見極め勝利呼んだヤクルト・高津采配

[ 2022年9月12日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト1―0横浜 ( 2022年9月11日    横浜 )

<D・ヤ>5回、小川の適時打で生還した青木(左)を迎える高津監督(撮影・島崎忠彦)
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 【槙原寛己 視点】投手の出来を見極める高津監督の「勝負眼」が虎の子の1点を守り、勝利を手繰り寄せた。

 1点リードで迎えた7回2死二、三塁。高津監督は小川をそのまま打席に送った。追加点がどうしても欲しい場面。野手出身の監督だったら「1点を取りにいく」ことを優先し、代打を送ってもおかしくない。だが、高津監督は「1点を守ること」を選択して動かなかった。小川の投球内容を分析し、その先の継投も読んだ投手出身の監督らしい采配だったと思う。

 DeNA打線が3回り目となった5回2死。小川は配球を変える。桑原に対し初球チェンジアップから入り、3球目にはカットボールで詰まらせ一ゴロ。6回2死から2安打されていた牧には初球の直球でストライクを取り、最後はチェンジアップで遊ゴロに抑えた。緩急をうまく使いリズムが出てきた投球を見て高津監督は、「7回も小川でいける」と確信したはずだ。7回まで小川が投げてくれれば継投はこのところ不安定な中継ぎ陣を飛ばして清水、マクガフの2枚で済む。継投のリスクを最小限に抑えるための小川続投でもあった。

 小川は7回もチェンジアップをカウント球に使いながら3者凡退。期待に応えた。1点の攻防となった1、2位対決。高津采配の妙とヤクルトの底力が際立つ戦いだった。(スポニチ本紙評論家)

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2022年9月12日のニュース