広島・遠藤の今季に懸ける思い「佐々岡監督へ恩返しの年にしなければ」「喜んでいる顔が見たい」

[ 2022年5月31日 05:30 ]

今季に懸ける思いを独白した遠藤

 広島の若手選手が本紙に特別コラムを寄稿する「若ゴイ跳ねる。」。第3回は、遠藤淳志投手(23)が担当した。飛躍を期待された昨季に登板2試合に終わった悔しさをバネに、今季は現時点で規定投球回未満ながらチーム先発陣トップの防御率2・68をマークするなど成長をアピールする。入団時から期待して見守り続けてくれた佐々岡監督らへの恩返しの年とすべく、好調の要因から今季に懸ける思いなどを本紙に独白した。

 昨季途中から投球フォームを改良したことが大きなターニングポイントになりました。意識しているのは地面からの力の反発を利用すること。踏み出した左足で体にブレーキをかけ、上半身は振られて勝手についてくるイメージです。悪かった時は下半身が沈むことでリリース時に力が伝えられず、力を出そうとすると高めに抜けてしまっていました。幹英さん(小林2軍投手コーチ)と一緒に映像を見て、試合で投げては反省の繰り返し。去年は結果が出なかったので、このまま続けてよくなるのかな…という不安もありましたが、信じて、貫いてよかったと思います。

 今季から制球に苦労することがなくなってきました。怖いもの知らずで投げられたのは2年目まで。先発を経験させてもらった3年目からプレッシャーなどで、投げるたびに打たれる怖さが増していき、長所だったはずの制球は課題に変わりました。単打ならオーケー、ゾーンで勝負…とどれだけ考えても、それを実践できる技術も伴っていなかった。技術もメンタルも、両方そろわないと抑えられないということを今年の経験から改めて学ぶことができました。

 17日の巨人戦は、故郷の茨城に近い宇都宮清原球場での登板でした。そのおかげでプロ入り後初めて祖母に球場で見てもらうことができました。広島まではさすがに遠いし、東京ドームまでも移動が大変。「栃木なら見に来られるんじゃない?」と声を掛けました。喜んでくれましたし、本当に貴重な一日になりました。投げさせてくれた佐々岡監督には感謝しかありません。

 もう一人、投球を見ていただきたい人がいました。霞ケ浦高校の恩師・高橋祐二監督です。お声掛けしたのですが、残念ながら都合が合わず、現地には来られませんでした。高橋監督は、プロ入りまでの道をつくってくれた恩人。高校の頃のモットーだった「人としての成長なくして技術の成長なし」という言葉は今も胸に刻んでいます。監督には結果で恩返ししたいですね。

 佐々岡監督への恩返しの年にもしなければいけません。昨季までは期待に応えられませんでした。これまで厳しい表情をさせてしまった分、監督の喜んでいる顔が見たいというのが今年一番の願いです。去年は、もうこのまま1軍に上げてもらえないかもしれない…とまで考えたこともありました。結果が出なくても「自分はこんなものではない」と言い聞かせて練習してきました。僕をどうすべきか監督も考えてくださっていたと思いますし、今年は長いイニングを任せてもらえたりする中で監督が少しでも喜んでくれているのであればうれしいです。

 これから状態が悪い時が来たとしても何とか粘って我慢して、一つでも多く勝利に貢献します。遠藤で負けたら仕方ないと思ってもらえるような投手になりたい。そのためにも安定した投球を1年間続けて、終わって振り返ってみた時に2桁勝っていられるようにしたいと思います。(広島東洋カープ投手)

 《清宮と対戦したい》遠藤は本拠地屋内での投手指名練習に参加し、ブルペンで投球練習に汗を流した。1日に先発予定。対戦したい打者には同学年の清宮を挙げた。「僕らの代のトップを走っていた選手。プロの舞台で戦えるのは素晴らしい。意識して投げたい」。前回25日のロッテ戦では7回途中2失点に抑え、交流戦唯一の勝利をマーク。7回を投げれば規定投球回数にも届くだけに「一つの目標なので、もちろん意識する」とし、今回登板での到達を誓った。

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2022年5月31日のニュース