ヤクルト・木沢 母の背中を見てつかんだプロ初勝利

[ 2022年5月11日 08:00 ]

8日の巨人戦でプロ初勝利の木沢(左)は高津監督と笑顔で1勝のポーズ(撮影・村上 大輔)
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 親の背中を見て子は育つ。ヤクルト・木沢尚文投手(24)と、その母である聡子さん(54)の話を聞いて、まさにそう思った。

 2年目右腕は大型連休最終日で「母の日」でもあった8日の巨人戦で、2―3の8回から4番手で登板。1イニングを3者凡退に抑えると直後に味方が逆転し、2年目でプロ初勝利をあげた。ウイニングボールを手にした24歳は「実家に帰れるタイミングで直接渡したい」と笑顔。聡子さんから学んだチャレンジ精神が初白星を呼んだ。

 航空会社の機内通訳を務めていた聡子さんは英博さん(62)と結婚後、一度は専業主婦に。木沢の慶応高入学のタイミングで経歴を生かして英語を教える外国人教師の補助を始めた。のちに介護の仕事にも挑戦。木沢は「最近、国家資格の介護福祉士の試験に合格したと言っていた。新しいことに年齢にかかわわらず、トライする姿は若々しい」と語り、母に負けじと今季に臨んでいた。

 慶大から20年ドラフト1位で入団も1年目の昨季は1軍登板なし。今季に向けては「本当にアピールして残っていかなければいけない立場。投げる場面にこだわらず、必要とされるような戦力になっていきたい」と語っていた。強い決意を胸に、オフからシュート習得に取り組んできた。

 新球を覚えて、初の開幕1軍入り。3月29日にプロ初登板を果たすと、10試合で失点4ながら自責点は0(10日現在)と好投を続けている。「まずはシュートを投げてファウルを取る。そこからカット、フォークで打者を追い込んでいく。自分の中でのスタイルが見えてきて、自信を持ってマウンドに上がれるようになった」と胸を張る。

 「逆に私が頑張っている息子の姿に刺激をもらっています」と聡子さん。昨年は父の5月1日の誕生日祝いも兼ねて、母の日におそろいのシャンパングラスを贈った木沢。今年は初勝利という最高のプレゼントを贈った。(記者コラム・青森 正宣)

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2022年5月11日のニュース