【虎番リポート】井上ヘッドコーチのコミュニケーション能力が逆襲へのカギ

[ 2022年4月19日 05:30 ]

苦しい戦いが続く今こそ、井上ヘッドの存在が大きな力になる
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 新企画「虎番REPORT(リポート)」では普段の原稿とは違うタッチで矢野阪神の側面を紹介する。今回、山添晴治キャップが着眼したのは、低迷するチームにおける井上一樹ヘッドコーチの「存在感」だ。

 18日の投手指名練習にも、井上ヘッドコーチの顔があった。一昨年まで打撃コーチで投手は専門外。それでも「俺は技術うんぬんよりもコミュニケーションを図りたいから。先発陣も可愛いし、冗談ばかり言っているけど。休みなんていらない」と開幕前に話していたように、ほぼ毎回、球場に来ている。

 私は中日の現役時代も取材しており、当時からトークは軽妙だった。19年の阪神入団会見では「コミュニケーション・モンスターになりたい」と宣言。積極的に選手に声を掛ける姿が目立つ一方で、投手練習日にも必ず取材に対応。試合のない日にも努めて説明責任を果たそうとしてくれるのは、我々としても大変ありがたい。

 18日は不振の打線について“一樹節”を展開。「ライターを持たずに一生懸命、石でカチカチやっているところで、どこでパッと火が付くか。火が付いた時には“ヨッシャー!”ってなるし。“あ、またか…”となると、どんどん(悪い方へ)行ってしまう。そのチャッカマンが早く現れてほしい」。深刻な適時打不足には「今見ていても、長打というよりつないでいくしかねえな、という形。そこで“タイムリーヒットー!”ってアナウンサーが絶叫するようなのを、早く打ってほしいと思う」と続けた。

 矢野監督を直接取材していると、退任を表明して退路を断った今季は、自分の信じた道をしゃにむに突き進んでいる印象を受ける。周囲の声に惑わされることなく、今までは遠慮していたことでも「ヤル」。ただ、それが行き過ぎると周りが見えなくなる危険性もはらむ。そんな時こそ井上ヘッドコーチの“コミュ力”の発揮しどころではないだろうか。監督が見えていない部分があれば、フォローし、反対意見も出す。そんな役割ができるのはヘッドしかいない。苦し過ぎるスタートとなった中、逆襲へのキーマンの一人と思っている。(山添 晴治)

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2022年4月19日のニュース