【センバツの記憶1985年・前編】清原&桑田擁するPL学園を“無名”渡辺智男が倒した「伝説の大金星」
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センバツ伝説の名勝負がある。1985年第57回大会準決勝のPL学園(大阪)対伊野商(高知)超高校級の大砲・清原和博(後に西武)エース桑田真澄(後に巨人)を擁し優勝候補大本命といわれたPL学園が無名の右腕に屈した一戦だ。PL学園・桑田と伊野商の渡辺智男(後に西武)の先発で始まった試合は桑田が初回に2点を失うなど伊野商ペースで進んだ。1年生の夏から3大会で決勝に進み甲子園通算7本塁打のPL学園の4番は同大会も好調。準々決勝まで11打数5安打1本塁打と存在感を示していた。清原に挑んだのは中央球界でほとんど知られていなかった銀縁眼鏡の投手・渡辺だった。2回快速球で三振を奪うと4回にも空振り三振。2点差の8回2死一塁にはMAX146キロの剛速球で見逃し三振。怪物を打ち倒した。スタンドまでも沈黙させた大金星。その裏には渡辺と2年生捕手の間で練った秘策があった。前編と後編でおくるセンバツ伝説の名勝負――。
~銀縁めがねの剛腕 清原の「顔も知らなかった」~
その瞬間、大甲子園のスタンドがため息に包まれた。4度目の聖地に立った怪物がいとも簡単に空振り三振に切り捨てられる。1985年4月6日の準決勝「PL学園―伊野商」2回裏、先頭で打席に立った清原和博は伊野商エース渡辺智男の快速球に目を見張った。
初球真ん中高め直球。見逃し。ボールの後の直球も見逃した。カウント3ボール2ストライクからの6球目。内角に来た直球にバットを出したがまったく当たらなかった。入学以来、3度の甲子園決勝を戦った清原が初めて甲子園で経験した屈辱的な敗戦のプロローグだった。
渡辺にとってこの打席で対戦するまでの清原は「はるか遠い存在」だった。1年生の清原が桑田とともに夏春連覇の池田(徳島)を撃破。頂点に上り詰めた83年夏の全国高等学校野球選手権大会。伊野商は高知大会の2回戦で高知工に負けている。この試合、渡辺はスタンド応援の外野手。投手として高校野球で1球も投げていなかった。
「実はピッチャーはやらないという条件で野球部に入った。できませんといってね。(佐川)中学で肘を壊したから。監督もそのことは知っていた」
肘が回復し、ようやく投球練習を始めたのは翌年春。KKが準優勝した翌84年夏も公式戦には登板していない。
「練習があるからテレビは観ない。田舎の農家だし、高知の地方新聞しかない。キヨたちの写真が大きく載っていることはない。だから名前は知ってても顔は知らない。まず高知で勝たなきゃ話にならないので(KKは)興味はなかった」
~初めての甲子園快進撃 PL戦前夜 データも見なかった~
2年秋の新チーム。エースナンバーを背負い、高知県内のライバル、中山裕章(高知商後に横浜大洋)山本誠(明徳義塾後に阪急)としのぎを削った。秋の四国大会準優勝でセンバツ初切符を手にしたが全国的には無名といってよかった。センバツ本大会1回戦は西のPL学園に対して東の横綱といわれた東海大浦安(千葉)。5―1で快勝し、2回戦は鹿児島商工(現樟南)に競り勝った。準々決勝は西条(愛媛)に完封勝ちした。
一方、大本命のPL学園は1回戦浜松商(静岡)、2回戦宇部商(山口)、準々決勝・天理(奈良)に圧勝。清原も11打数5安打1本塁打と好調だった。準決勝前夜の伊野商宿舎。PL学園に備えた戦略的なミーティングは行われていない。
「(山中直人)監督はデータは取り寄せたみたいだけど、何もいわれなかった。見ると萎縮しちゃうから。PLは強すぎて、ここをこうやって抑えろ、このピッチャーこうやって攻略しろというレベルじゃない。監督さんもなって2年目。27歳だったし」
渡辺の球種は直球とカーブだけ。小細工の通じる相手でないことは分かっていた。
「試合前に考えたのは自分のなかで目いっぱい行こう、思いっきり腕を振っていく、それしかない」
~2年生捕手と決めた打倒清原の「秘密のサイン」~
伊野商の捕手は背番号「12」、2年生の柳野浩一。センバツまで公式戦でマスクを被ったのは2試合だけだった。渡辺は柳野との間で監督も知らないサインを決めていた。「高知の田舎の高校生」が考えた打倒・清原の“秘策”だった。
迎えた準決勝。2回、清原の第1打席。渡辺は柳野の出したサインにほんの一瞬、首を振った。あらためてサインをのぞき込み、フルカウントからの6球目を投じた。
「(2ストライクになった後)真っ直ぐのサインに(1度)首を振って、もう1度外の真っ直ぐのサインにうなずいたら“目いっぱい放るから”というキャッチャーへの合図だった。外を狙うんだけど、目いっぱい放ると必ずボールが抜けてインハイにいっちゃう。それをパスボールしないように。内に手が伸ばせるように。準備してろと」
腕を思い切り振った結果が真ん中から内角寄りの高めの直球。清原のバットはかすりもしなかった。最初の勝負を制した渡辺だったが経験したことのない恐怖感を味わっていた。
「空振りしたときのスイング。当たったらどこまで飛ぶんかなっちゅうスイングだった。凄さがあった」
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