ソフトバンク・古谷 窃盗で“解雇” 今季プロ初勝利挙げた期待の5年目160キロ左腕が…

[ 2021年12月25日 05:30 ]

自由契約となったソフトバンク・古谷優人
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 衝撃が走った。選手が窃盗で“解雇”とは…。ソフトバンクは24日、古谷優人投手(22)との来季契約を締結せず保留権を放棄し、自由契約とすると発表した。所属選手からロッカー内での私物盗難被害の申し出があり、球団が警察に相談。調査の結果、古谷が窃取していたことが判明し本人も事実関係を認めたという。今季プロ初勝利を挙げた期待の160キロ左腕が、期待を裏切る形でチームを去る。

 クリスマスイブの13時に発表された古谷の“窃盗解雇”。30分後、報道陣にオンラインで対応した三笠杉彦GMは「来季の選手契約を締結しがたい事案である」と左腕の自由契約を明言。「ファンの皆さま、球界関係各位にご迷惑をおかけしたことをおわびする」と言葉を慎重に選びながら謝罪した。

 “事件”が起きたのはシーズン中だった。ソフトバンクの選手1人から球団施設内ロッカーで私物紛失の申し出があり、警察を含めた調査を実施。鍵はかかっていなかったという。今月に入って、古谷が窃取したことが判明。本人は事実関係を認め、「大変、申し訳ないことをした」と反省しているが、球団は即退団を命じた。

 被害を受けた選手の私物は本人の元に返還され、警察に被害届を提出する意向はないという。また、この盗難品について三笠GMは「高価な私物」と述べるにとどめ、詳細は明かさなかった。その後も報道陣から転売目的の有無、盗難に至った経緯など質問が殺到したが、「詳細は差し控えたいと思います」と口を閉ざした。

 8月にはペイペイドーム内のロッカールームから和田のグラブを盗んだとして、施設の出入り業者だった清掃員が逮捕されたばかり。このときは防犯カメラなどから容疑者が浮上したが、三笠GMは「直接的な関わりはございません」と事件との関連性を否定した。

 今後の対策については「防犯カメラの増設は考えられる。プライバシーとの兼ね合いは選手たちとも話し合いながら。(対策は防犯カメラと)啓蒙(けいもう)活動、選手教育の3点になる」と再発防止策を挙げた。

 古谷は北海道・江陵から16年ドラフト2位で入団。最速160キロを誇る本格左腕は5年目の今季、自己最多13試合に登板。1勝1敗、2ホールドで防御率2・03。10月14日の楽天戦ではプロ初勝利をマークするなど飛躍のきっかけをつかんだと思われた。この一件がなければ、年俸も今季720万円からのアップは確実だった。12月に左手血行障害の手術を受け、完全復帰を目指していただけに、多くの疑問が残った。確かなのはファンと球団の期待を裏切ったことだ。(福井 亮太)

 ◇古谷 優人(ふるや・ゆうと)1999年(平11)2月19日生まれ、北海道出身の22歳。札内南小3年から野球を始め、江陵では3年夏の北北海道大会4強が最高成績。16年ドラフト2位でソフトバンク入団。19年5月の3軍戦でプロ野球左腕最速の160キロを計測。20年7月5日の日本ハム戦で1軍デビュー。今季10月14日の楽天戦でプロ初勝利。ここまでプロ通算17試合で1勝1敗2ホールド、防御率2・37。1メートル76、79キロ。左投げ左打ち。

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2021年12月25日のニュース