オリックス・中嶋監督を支えた95、96年連覇組の絆 指揮官の要望を福良GMも全面的に受け入れ

[ 2021年10月29日 09:00 ]

オリックス優勝緊急連載「不屈の四半世紀(中)」

96年に日本シリーズを制覇。ペナントを手のする仰木監督(手前右)や、中嶋(右から3人目)、イチロー(手前左)ら

 2年連続最下位からのV字復活。中嶋監督を支えたのは仰木監督の下で95年のリーグ優勝、96年のリーグ連覇、日本一の歓喜を分かち合った僚友だった。

 「伝統が途切れた感じはある。オレらには先輩がいて、グラウンドやロッカールームで、言葉で、態度で教えてくれた。今はその役割をするヤツがいない。もう一度そこからつくらないといけない」

 福良淳一GMが監督時代から何度も口にした言葉だ。激動の歴史がある。イチロー、田口のメジャー移籍や、04年の球界再編で近鉄との合併に揺れた。長期低迷が続くチームの再建へ、自らが現役だった阪急時代から信頼を寄せる中嶋監督の手腕に託した一方、その要望を全面的に受け入れる態勢も整えた。

 全コーチに関して1、2軍を区別せず、柔軟な配置を可能にする異例の布陣を敷いた。連携強化を求めたもので、それは指揮官と盟友・小林2軍監督との意思疎通を一層スムーズなものにした。投手陣の入れ替えなど密に連絡を取り合い、フレッシュな戦力循環に成功。リーグ最多の投手登録抹消延べ60人。12球団唯一の救援投手3日連続登板ゼロに、つなげた。今春キャンプで初導入した3グループ制も指揮官の申し入れで実現。若手中心のA班、T―岡田や安達らベテランのB班、舞洲残留組のC班で各選手の練習効率を重視したものだった。

 田口外野守備走塁コーチは、「中嶋監督が仰木監督に見えてこないでもないよね。選手に思い切りプレーさせるところとか似ているのかな」と言った。大躍進の土台には、中嶋監督に思い切りタクトを振るわせた裏方の後押しがあった。(湯澤 涼)

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2021年10月29日のニュース