大野豊氏 広島・栗林に「このまま抜いて、はるか遠くまでいって」 歴代と比べても出色の数字と称賛

[ 2021年10月10日 16:54 ]

セ・リーグ   広島3-1巨人 ( 2021年10月10日    マツダ )

大野豊氏
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 広島のドラフト1位・栗林良吏投手(25)が、10日の巨人戦に登板し、セーブを記録。これで14試合連続セーブへと伸ばし、91年大野豊氏(66)の持つ球団記録に並んだ。大野氏は栗林を祝福しつつ「このまま抜いて、はるか遠くまでいってほしい」と不滅の大記録をつくることも願った。また、自身の記録達成時の裏話なども披露した。

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 今年のカープは抑えをどうするかが課題だった。栗林が加入した時点で任せたらいいと思っていた。想像以上だった。前半戦は同点登板も多く、チーム状態が良ければ、もっとセーブ数も伸びていた。31セーブの数字以上の価値があると思う。記録は破られるためにある。並ぶだけでなく、このまま抜いて、はるか遠くまでいってほしい。

 栗林は直球の強さがあり、フォークボールという武器がある。抑え投手に必要な適性だが、それだけではない。カットボールやカーブも精度が高い。だからフォークの調子が悪いときは他の球に切り替えて投球できる。1年目でありながら、自分で投げる球を選択してリードできる。技術の高さに加え、気持ちの強さ、メンタルもタフさもある。それら総合力の高さが圧倒的な防御率や奪三振率にも表れている。

 東京五輪でも抑えとして重圧のかかる場面で5試合に登板。金メダル獲得への貢献度は大きい。このまま順調に終えれば、新人王という勲章も付いてくるのでは。1年目の成績として立派という水準ではなく、歴戦のクローザーと比べても出色の数字と言っていい。

 91年に記録した14試合連続セーブでは8回からの登板が5度あった。江夏豊さんの頃は7回からでも投げていたから、特別に大変だな…という感覚はなかった。無安打に抑える試合も続いて、確か“ノーヒット―ノーラン”にもなったと思う(12試合にまたいで計12回1/3を被安打0、4四球)。

 これは厳しい…と思ったのは11試合目だ。当時のプロ野球記録だった鹿取義隆の10試合連続に並んだ次の試合。盛岡でのヤクルト戦だった。2―1の9回表に佐々岡真司(現監督)が先頭に右前打されて右翼手が後逸。1死三塁から登板した。

 監督だった山本浩二さんに「タイ記録には並んだんだから、もういいだろう。何とか頑張ってくれ」と送り出された。八重樫幸雄さんと古田敦也を遊ゴロ。バウンドを合わせづらいゴロだった。野村謙二郎も抑えれば新記録だと分かっていたから、硬くなりながら必死に守ってくれた。

 あの年は久しぶりのリリーフ復帰。ダブルストッパーを組むはずだった津田恒実が病気のため4月に離脱した。津田のために…という気持ちがあったし、見えない力に背中に押された。津田が後押ししてくれたと思う。

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2021年10月10日のニュース