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横浜・緒方 史上初1年生が逆転サヨナラ弾!2点追う9回2死から「人生で一番良い当たり」の公式戦1号

[ 2021年8月12日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権第2日・1回戦   東北学院5―3愛工大名電 ( 2021年8月11日    甲子園 )

<横浜・広島新庄>9回、サヨナラ3ランを放ちナインに出迎えられ、笑顔を見せる横浜・緒方(中央)=撮影・河野 光希
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 1回戦4試合が行われ、3年ぶり出場の横浜(神奈川)は0―2の9回に緒方漣内野手(1年)が逆転サヨナラ3ランを放ち、広島新庄を下した。1年生のサヨナラ弾は史上初の快挙だった。

 2年ぶりの夏。ド派手なドラマが生まれた。主役は入学して4カ月の16歳だ。0―2で迎えた9回2死一、三塁。絶体絶命の場面で、緒方の顔には笑みが浮かんでいた。

 「おどおどせず、自分のできることをやろう」

 身長1メートル67の小兵は2球目の直球をコンパクトに振り抜く。左翼へ舞い上がる打球を目で追い「行ってくれ!」と吠えた。大きな放物線を描いた白球が左翼スタンドで跳ねた。逆転サヨナラ3ラン。声を出しての応援が禁じられているスタンドから、思わず大きなどよめきが起こった。ベンチを飛び出す横浜ナインに、うなだれる広島新庄ナイン。最後の一球で「明」と「暗」が入れ替わった。

 緒方は、これが公式戦初本塁打。高校通算でも2本目で「頭が真っ白になった。人生で一番良い当たりでした」と驚きを隠せなかった。サヨナラ弾は大会通算23本目で1年生は史上初。日本一5度の強豪で「1番・遊撃」を担うスーパー1年生が歴史に名を刻んだ。

 父・健之さんはかつて野球、母・ゆかりさんはソフトボール経験者。緒方は3歳の頃から眠る時もグラブを離さなかった。小学校時代は毎日約1時間30分の壁当て。「軟式球で壁当てをするとヤマがなくなってツルツルになる。そのボールをつくるのが趣味でした」と、スローイングやグラブさばきを磨いた。

 中3時は硬式のオセアン横浜ヤングの遊撃手で全国優勝。高校入学後は春季大会から遊撃手を任され、持ち前の守備力で高い評価を得た。春は打撃で苦戦したが、村田浩明監督から「低く、強い打球を打て」とアドバイスを受けて開眼。「打撃スタイルがコンパクトなスイングに変わった」。夏の神奈川大会は・455の高打率を残し、聖地でも変わらぬスイングを見せた。

 「広島新庄の分までしっかり戦いたい。臆することなく、正面から向かっていきたい」

 松坂大輔(現西武)らを擁した98年以来となる日本一へ。劇的な勝利の立役者は、あどけなさの残る面持ちで、力強く話した。(柳内 遼平)

 ≪夏の甲子園1年生弾は清宮以来≫夏の甲子園での1年生の本塁打は15年の清宮幸太郎(早実=2本)以来で緒方は17人目(19本目)。83年の桑田真澄2本、清原和博(ともにPL学園)、87年の仁志敏久(常総学院)、05年の中田翔(大阪桐蔭)らが記録しているが、サヨナラ本塁打は史上初。夏の甲子園でのサヨナラ弾は19年の福本陽生(星稜)以来23人目となった。逆転サヨナラ弾は18年の矢野功一郎(済美)以来7人目だが、あと1人で敗戦の土壇場からは75年の高林基久(浜松商)以来46年ぶり2人目。

 ◇緒方 漣(おがた・れん)2005年(平17)6月20日生まれ、川崎市出身の16歳。幼稚園の年中から野球を始め、川中島中では硬式のオセアン横浜ヤングでプレー。50メートル走6秒3、遠投100メートル。憧れの選手はソフトバンク・今宮。1メートル67、62キロ。右投げ右打ち。

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