作新学院 10大会連続で聖地 打率10割“代打男”戎が逆転2ランで打線けん引

[ 2021年7月26日 05:30 ]

全国高校野球選手権栃木大会決勝   作新学院3ー2佐野日大 ( 2021年7月25日    栃木県総合運動公園 )

<佐野日大・作新学院>10連覇を達成し、バックの応援団とともに歓喜の作新学院ナイン(撮影・木村 揚輔)
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 第103回全国高校野球選手権(8月9日から17日間、甲子園)の地方大会は25日、25大会で計65試合が行われ、7大会で決勝が行われた。栃木大会では作新学院が佐野日大を3―2で下し、10大会連続16度目の甲子園出場を決めた。代打で起用された戎響葵(えびす・ひびき)外野手(3年)が2ランを放ち、打線をけん引した。26日は16大会、計34試合で決勝が6試合行われる。

 名前の「響葵」のように、戎が夏空に快音を響かせた。1点を追う3回無死一塁で代打で登場し、チェンジアップを迷いなく強振。公式戦初アーチとなる逆転2ランが、右翼席で弾んだ。

 「去年の先輩の分、メンバーに入れなかった3年生の分まで打ってやろうと。うれしかった」。努力を重ねつくり上げた自信のスイング。神様は見ていた。

 一時は同点とされたが、最後は競り勝ち。戎を代打起用した小針崇宏監督は「気持ちのある男。男気の一打ですね」と喜んだ。決戦前夜。選手は中華料理店で舌鼓を打った。駅まで送ってもらう帰り。指揮官が運転する車で戎は言った。「明日、自分が一発で仕留めます」。今大会は代打出場のみも3打数3安打。打率10割の代打男が、栃木大会10連覇の立役者となった。

 「周りに比べてヘタクソ。雑草魂でやってきた」。野球を始めたのは中学から。この日の相手・佐野日大の4番で同じ中学だった岡佐昌樹(3年)に誘われた。もちろん軟式。硬式は高校からで、必死に努力を重ねた。全体練習後は午後10時すぎまで打ち込み、終電で帰宅後も午前0時すぎまで素振り。始発で学校に行く日々を繰り返した。迎えた3年夏、ついに初のベンチ入り。母・奈央さん(40)は「つらいこと、苦しいことを言わない子。最後に報われたと思います」と話した。

 「10連覇はいい目標でやれた」と小針監督。戎は「甲子園でも代打で百発百中でいきたい」と宣言した。趣味はギターで長渕剛の「夏祭り」などを好んで弾く。えびすさまならぬ「戎サマー」の甲子園。夏の祭りでも自慢のスイングを披露する。(鈴木 勝巳)

 ◇戎 響葵(えびす・ひびき)2003年(平15)8月12日生まれ、茨城県結城市出身の17歳。小山市立大谷北小までは水泳に打ち込む。得意種目は平泳ぎ。小山三中で軟式野球を始めて外野手。作新学院では今夏に初のベンチ入り。家族は両親と兄、弟、妹。1メートル70、74キロ。右投げ左打ち。

 ▽作新学院(栃木)1885年創立の私立校。OBに競泳の萩野ら。

 ▼西武・今井(OBで16年夏の甲子園V腕)結果は毎試合追いかけていました。連覇の重圧がある中で優勝、本当におめでとうございます!

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2021年7月26日のニュース