侍の決意!阪神・岩崎 五輪不安説に「全部見返してやろうと」

[ 2021年7月19日 05:30 ]

東京五輪に挑む岩崎
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 侍ジャパンに選出されている阪神の岩崎優投手(30)が18日、東京五輪への決意を明かした。セットアッパーとして不本意な成績に終わったシーズン前半戦を振り返り、自身初の国際舞台で目指す金メダル獲りに向け、五輪を戦う原動力とも言える「感情」を吐露した。

 「鉄仮面」の裏は灼熱(しゃくねつ)だ。開幕から「8回の男」を託されチーム2番目に多い34試合に登板も1勝3敗、22ホールド、防御率3・56で6月上旬には2軍降格も経験。勝利に貢献する一方で、悲鳴やため息を背に受けることも多かった。

 「見返してやろうという気持ち。打たれて、点も取られて実際これだけやられているのは事実で(周囲から不安などを)言われるのも当然」

 心中穏やかでない中で向かう東京五輪。原動力はシンプルで熱い。

 「岩崎は良くない、球が高い、制球が悪い、疲れてる、五輪でも通用しない……。いろんな媒体で目にする。全部見返してやろうと」

 再昇格した6月中旬から心構えは変えていない。

 「感情に任せて言ってないですよ。いざマウンドに立てば、そんなこと考えてないですけど、極端に言えばマウンドに上がる5分を除けば23時間55分はずっとその気持ち。それをエネルギーにしてシーズンもやってきた。個人的には五輪もずっとその気持ちを持ってやりたい」

 チームは前半戦を首位で終えた。ベテランが去り、若返った集団で置かれる立場は激変。後輩への声かけも自然と増えていた。

 「若い選手は負けた悔しさ、勝ったうれしさとかは今までより大きいと思う。自分も感じる。負けて暗くなるけど“考えすぎずに次、次”と。多くないけど、野手にも声をかけたりして」

 一丸の空気を感じるからこそ、プレーで貢献できなかった2軍での再調整期間も無駄にしたくなかった。

 「チームはもちろん、巨人の試合の方が多かったかもしれない。一球一球の映像を見返して。巨人の打者の動きとか、表情とかを観察して」。分析だけでなく、食い入るように見つめるテレビ画面には、ナインの奮闘も映し出されていた。

 「1軍にいる時は感じることができなかった部分。気持ちの面で前向きになれたのは間違いないと思う」

 侍ジャパンへの選出は「うれしさというより、気持ちが高ぶった」と表現した。アマチュア時代も通じ、初めて袖を通す日の丸のユニホーム。「(五輪でのプレーは)イメージができないし、想像も全くできない」からこそ、難しく考えない。

 「自信を持っていけば良いかなと。複雑には考えずに。そうすれば結果は付いてくると信じて。とにかく見返したい。その気持ちだけは忘れずに。(ファンの人たちには)見ていてほしい」。燃えたぎる“マグマ”を白球に乗せる。(取材・構成 遠藤 礼、長谷川 凡記)

 <記者フリートーク 阪神担当・遠藤 礼>

 野球を始める前は水泳少年だった。「北島康介さん、イアン・ソープ、ピーター・ファン・デン・ホーヘンバンド…」。岩崎に「五輪と言えば」と聞けば、レジェンドの名が次々に出てきた。

 そう言えば、18年の春季キャンプ中に開催中だった平昌五輪で日本女子スピードスケート史上初の金メダルを獲得した小平奈緒に「力をもらいました」と話していたのも印象的だった。自身が五輪戦士としてプレーすることは「全く想像できない」と首を振った。それでも、岩崎少年が夢を抱き、岩崎投手が励まされたように、多くの人の心を動かす舞台に立つ。

 「静岡はサッカーのイメージが強いかと思いますが、こんな野球選手もいるんだなと思ってもらえたら」。小さな“野望”はある。(阪神担当・遠藤 礼)

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