ヤクルト・奥川 6回2失点で49日ぶり2勝目「刺激になる」ライバル・佐々木朗と同日勝利

[ 2021年5月28日 05:30 ]

交流戦   ヤクルト5―2日本ハム ( 2021年5月27日    神宮 )

<ヤ・日>6回2死二塁、R・ロドリゲスを三振にしとめガッツポーズする奥川(撮影・沢田 明徳)
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 頑張った。そして笑顔満開になった。こんな姿を思い描いていたのか。20歳のヤクルト・奥川にとって、小学時代の思いを実現する夜となった。

 「凄くうれしい気持ちです」。お立ち台で響かせた言葉には、深い意味がある。4月16日に誕生日を迎えて4度目の登板。もう「雨男」と言っていいほど、いつものように雨が降っていた。でも、負けない。ぬかるむマウンドにも対応し、自己最多の96球を投げた。

 立ち上がりは投げ急ぎ、制球が少し甘くなった。初回、2回に1点ずつ失ったが、そこからが違う。「今日できる投球は何だろうと考えた」。テンポを変え、低めを意識し、緩い足元を気にせずに打者との勝負に徹した。

 「修正して粘り強く投げられた」。その言葉通り、3回以降は危なげない投球。6回2失点に抑え、得意のスライダーなどで毎回となる自己最多の9三振を奪った。それだけではない。打席でも5回1死から二ゴロで一塁へ全力疾走してエラーを誘って逆転劇につなげ、49日ぶりの2勝目。同日勝利のライバル・佐々木朗については「刺激になっている」と言った。

 自分なりの工夫も生きた。プロの硬いマウンドで少しバランスを崩していたと分析。そこで厚底のスパイクに替えた。「クッション性があった方が投げやすいと思った」。常に成長する姿がそこにある。そんな奥川は小学校の卒業文集で「20才の自分へ一言」というページに「笑顔でがんばれ!」と書いた。

 この夜、奥川は雨の中で頑張り、笑顔になった。8年前の自分の激励に応える「20歳初勝利」だった。(秋村 誠人)

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