2年ぶりの交流戦 あの一試合を思い出した

[ 2021年5月26日 08:00 ]

12年5月30日の楽天戦でノーヒットノーランを達成した杉内
Photo By スポニチ

 5月25日から2年ぶりの交流戦が始まった。開幕カードの一つ、巨人―楽天戦(東京ドーム)を観て、あの一試合を思い出した。

 12年5月30日。巨人・杉内(現投手コーチ)がプロ入り初の無安打無得点を達成した。9回2死から四球で初めて走者を出して完全試合こそ逃したが、記録達成時の東京ドームは大歓声と拍手に包まれていた。

 7回、8回、9回とその瞬間が近づく度に、球場は異様な盛り上がりをみせていた。杉内が投げ合った相手は田中将だった。球界を代表する投手の投げ合い。後に聞いた話では、杉内には特別な緊張感があったという。「マー君もいいピッチングをしていたから。そのリズムもいい方向につながったんだと思う」。自身と同様に日本を代表する投手の存在が記録達成の要因の一つとなった。

 普段とは違う対戦は選手にも刺激をもたらし、ファンにも魅力的に映る。杉内の大記録を実現させ、田中に土をつけたのは高橋由の一振りだった。両チーム無得点で迎えた7回。2死一塁で田中から左中間への豪快な2ランを放り込んだ。お立ち台では「守っていて僕もいい思い出というか、幸せです」と快挙に花を添えていた。

 昨年の交流戦はコロナ禍で中止を余儀なくされた。今季は新たに阪神・佐藤輝という目玉選手がいる。18試合制の新人の本塁打は17年の西武・源田、DeNAの神里が記録した2本塁打が最多。好投手がそろっているパ・リーグを相手に、どんな打撃をするのだろうか。

 依然、コロナ禍で広島―西武(マツダ)は25、26日の2試合が中止となった。2年ぶりに開催された交流戦。今後も感染防止を徹底しながら、ファンに明るい話題を提供してほしい。(記者コラム・川手 達矢)

続きを表示

2021年5月26日のニュース